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きょうのコラム「時鐘」 2011年4月1日
月が改まっても、苦難は続く。小紙座談会「女性の目」で東日本大震災の被災者が「まだ海や川を見ると震えが止まらない」と語っている
被災者に限るまい。テレビよりもラジオを聴く、という人が周囲に増えた。津波やがれきの山、原発の衝撃的な映像が日々、繰り返し流れる。映像は雄弁だが、いま安らぎが必要な人々には酷である。大震災に対する報道の姿勢も問われている。自戒を込めて、そう思う タレントが口をそろえて「頑張ろう」と言う画面を見て、映画の寅さんを思い出す。最後の作品で寅さんは阪神大震災に遭遇し、避難所で大活躍する。行政の対応が遅い、とたんかを切る。「市長、四角四面じゃ物事は進まないよ」 人一倍四角い顔が言うから、思わず吹き出す。笑った後で、なるほどと納得する。さすがは寅さんである。衝撃の現場を流す映像、がんばりが限界の人に対する「頑張ろう」、被災地の心情を理由に広がるいろんな自粛の動き。私たちの周囲にも、厄介な四角四面が潜んではいないだろうか 苦難は続くが、月は改まった。四角四面の自粛や「頑張ろう」は改めたいと思う。 |