2011年4月1日4時2分
政府が福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)の半径20キロ圏内に避難指示を出してから20日、屋内退避をしていた20〜30キロ圏内の住民に自主避難を要請してから1週間がたった。
朝日新聞が3月31日、対象となる福島県内の12市町村に尋ねたところ、避難指示圏内に100人以上が残っていることがわかった。同25日に自主避難を要請された屋内退避圏内でも、2万人以上が暮らしている。
避難指示、自主避難要請の双方の地域を含む南相馬市。「避難要請地域だけでも2万人以上いるとみられるが、出入りが多くて把握しきれない」(担当者)という状態だ。指示や要請が徹底しない背景には、継続的に調べている市内の大気中の放射線量が、圏外の測定地点より低いこともあるようだ。
「放射線量は原発から遠い福島市の方が一貫して高い。政府は20キロで線引きしている根拠を示してほしい」と、ある市職員は言う。災害対策本部のある原町区は原発から約25キロ。「屋内退避をしていたら何の仕事もできません」と市内を駆け回る。
「政府首脳は東京にいて、地元の実態を知らずに発言している。福島に来てほしい」。町全域が避難指示圏内に入っている富岡町の担当者は、避難指示の長期化に憤る。
指示に従い、町では、町内に残っている人には自衛隊を通じて避難の説得を続けている。一時は家畜の世話を続けている3人に減ったが、31日に新たに15人がいるとの情報が入った。
避難所では「もう生活できない」と、泣きながら帰宅したいと訴える町民がいる。突然の避難指示で、手持ちの現金が底を突く人も出てきた。
町付近の放射線量は減っている。担当者は「長期化が避けられないのであれば、一度だけでも帰したい。時間を制限すれば可能ではないか」と柔軟な対応を求める。