韓国で高まる外国人労働者への反発(上)
一部から懸念の声も
韓国に居住する外国人は合法・不法滞在者の合わせて125万人で、全人口の2.5%に達する。2005年以降に本格化した政府の多文化(国際化)政策によって、社会的弱者とされる外国人を支援し、配慮することが韓国社会の「常識」として広まっている。だがその一方で、外国人に対する反感をむき出しにする団体やインターネット上のサイトも少なくない。
約6000人の会員で構成される市民団体「外国人労働者対策市民連帯」をはじめ、インターネットサイト「多文化政策反対」や「大韓民国を愛する国民の会」、特定の国家を名指しした「A国とB国出身の外国人による被害者の会」など、各団体にそれぞれ3000-5000人の会員が加入している。
こうした団体が運営するサイトの掲示板には、外国人労働者による性犯罪など凶悪犯罪に関する記事や、国籍を取得するために韓国人男性と結婚し、直後に家を出た結婚移住者の事例などが紹介されている。また、サイトに寄せられた外国人労働者による被害事例について、出入国管理所や警察などへの申告も行っている。
これらの団体の活動は、オンライン上に限ったことでない。今年1月には、韓国に多くの労働者が滞在するA国の大使館を訪れ、同国の労働者による凶悪犯罪の頻発について抗議するとともに、対策を求める嘆願書を提出した。
多文化政策に反対する団体は、外国人の入国反対や入国制限を主張する理由として、外国人労働者の増加による韓国人の雇用の減少や、外国人による犯罪被害を挙げている。「外国人犯罪による被害者の会」のサイトを運営するKさんは「会員の半数は、外国人によって直接・間接的に被害を受けた人々」と語る。Kさんも07年、外国人による韓国人女性への犯罪を偶然目撃したのがきっかけで、外国人犯罪に関心を持つようになったという。Kさんは「一部のイスラム国家出身の男性たちが韓国に来て性犯罪を犯す例や、国籍を取得するために韓国人女性と結婚し、暴力によって改宗を強要する事例が多い」と主張する。