福島第一原子力発電所の周辺の海水から、法律で定められた基準値の4385倍に当たる、放射性のヨウ素131が検出されました。同じ場所では、29日も、高濃度の放射性ヨウ素が検出されましたが、それをさらに上回り、これまでで最も高い値になっています。経済産業省の原子力安全・保安院は、「半径20キロの範囲は避難指示が出され、漁業は行われていないうえ、今後、海流で拡散するため、海産物を通して人が摂取するまでに相当薄まると考えられる」としたうえで、放射性物質に汚染された水が継続して放出されているとみて、モニタリングを強化し、海でどのように拡散しているのか、実態を調べることにしています。
東京電力が福島第一原子力発電所の周辺で行っている海水の調査によりますと、1号機から4号機の水を流す放水口の南330メートルの地点で、30日午後1時55分に採取した海水から、国の基準値の4385倍に当たる、1cc当たり180ベクレルのヨウ素131が検出されました。同じ地点では、29日、基準値の3355倍に当たるヨウ素131が検出されていて、今回はこれを上回り、これまでで最も高い値となりました。この地点の30日の調査では、セシウム134が基準の783.7倍、半減期がおよそ30年と長いセシウム137が527.4倍の濃度で検出されていて、いずれもこれまでで最も高い値です。さらに、この地点からおよそ1.6キロ北にある、福島第一原発の5号機と6号機の水を流す放水口の北50メートルの地点でも、30日午前8時40分に採取された海水から、国の基準の1425倍に当たるヨウ素131が検出されていて、これもこの地点としてはこれまでで最も高い値になりました。これについて、原子力安全・保安院は「半径20キロの範囲は避難指示が出され、漁業は行われていないうえ、今後、海流で拡散するため、海産物を通して人が摂取するまでに相当薄まると考えられる。放射性物質に汚染された水が継続して放出されている可能性があり、文部科学省が沖合30キロで行っている調査に加えて、中間点に当たる沖合15キロの調査を行って、拡散の実態を調べ、海に与える影響を評価したい」と話しています。