第17回統一地方選前半戦の5政令市長選が27日告示され、計15人が立候補を届け出た。浜松市では現職の鈴木康友氏(53)以外に立候補の届け出はなく、政令市では初の無投票再選が決定。静岡市は、河村たかし名古屋市長が率いる地域政党「減税日本」が公認候補を擁立し、既存政党と地域政党の対決構図となった。24日に告示された12都道県知事選、4月1日告示の41道府県議選、15政令市議選とともに4月10日に投開票される。【笈田直樹、平林由梨】
告示されたのは、札幌、相模原、静岡、浜松、広島の5市で、現職3人、新人12人が立候補を届け出た。07年の前回選挙はゼロだった女性候補は4人。札幌、広島両市は民主、自民両党の対決型、相模原市は現職への与野党相乗りとなった。浜松市は、元民主党衆院議員の鈴木氏が地元経済界の支持に加え、民主、自民両党の市議らの支援を受け、対抗馬が出なかった。
今回の統一選では民主、自民両党など既存政党への不信が強まる一方、地域政党が支持を集めている。静岡市長選の減税日本公認候補は27日の演説で「地域の企業、皆さんが元気いっぱいの街を作りたい。それは減税から始まる」と減税論を主張。河村市長は出席しなかったが、「市民税10%削減、やってもらわにゃあかん。愛知県、名古屋市、静岡市で日本減税3本の矢に」と訴えるメッセージが披露された。
減税日本は愛知、北海道、千葉、神奈川など10道県議選、札幌、千葉、横浜など5政令市議選にも候補を擁立。市区町村議選を含め、計約150人を公認・推薦する予定だ。
大阪府の橋下徹知事が代表を務める「大阪維新の会」も大阪府議選、大阪、堺両市議選に計119人を立てる。地域政党の成否は、政党離れに直面する与野党の動向にも影響を与えそうだ。
札幌市は、3選を目指す上田文雄氏(62)=民主、社民、国民新推薦=と、元総務省自治大学校研究部長の本間奈々氏(41)=自民推薦=の一騎打ち。上田氏は民主党の支持率低下を受けて、経済人や市民団体関係者による世話人を置き、党派色を薄める。本間氏は上田氏の「緊縮財政路線」を批判。公共投資増額や除排雪対策の徹底などを訴え、現職批判票の掘り起こしを図る。前回、自民推薦候補を支援した公明党は自主投票。【鈴木勝一】
10年4月の政令市移行後、初の市長選となる相模原市。民主、自民、公明3党の県レベルの推薦で再選を目指す加山俊夫氏(66)に、共産党公認で元市議会副議長の菅野通子氏(69)と、無所属で元県議長の榎本与助氏(65)の新人2人が挑む構図となる。
加山氏は市議会与党会派の議員らと連携し、支持を広げる。菅野氏は神奈川県知事選や県議選の共産系候補と連動し、浸透を図る。旧郡部が地盤の榎本氏は、市街地での票の掘り起こしに取り組む。【高橋和夫】
旧清水市などとの合併前から通算5期、静岡市長を務めた小嶋善吉市長が退任、3新人の争いとなった。海野徹氏(61)は減税日本の公認を得て、無党派層への浸透を図る。田辺信宏氏(49)は自民党と連合静岡の推薦を得たほか、自主投票となった民主党の一部議員の支援を受ける。自民党を除名になった前市議会議長、安竹信男氏(64)は、小嶋市政の継承をアピールしている。【小玉沙織】
核廃絶運動に取り組んだ秋葉忠利市長が3期で引退。秋葉市長の支持者などが出馬要請した前副市長の豊田麻子氏(45)を民主、社民両党県連が支援する。推薦候補が過去3回敗れた自民党は前中央労働委員会事務局長の松井一実氏(58)=自民、公明推薦=を擁立。元市議の大原邦夫氏(61)▽前市議の桑田恭子氏(49)▽共産党県常任委員の大西理氏(45)▽会社員の前島修氏(37)を合わせ、新人6人の乱戦となった。【寺岡俊】
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◆政令市長選立候補者(届け出順)
上田文雄(うえだ・ふみお) 62 弁護士 (2)無現=[民][社][国]
本間奈々(ほんま・なな) 41 [元]総務省職員 無新=[自]
菅野通子(かんの・みちこ) 69 [元]市副議長 共新
加山俊夫(かやま・としお) 66 [元]助役 (1)無現
榎本与助(えのもと・よすけ) 65 [元]県議長 無新
安竹信男(やすたけ・のぶお) 64 [元]市議長 無新
海野徹(うんの・とおる) 61 [元]参院議員 諸新
田辺信宏(たなべ・のぶひろ) 49 大学講師 無新=[自]
大原邦夫(おおはら・くにお) 61 [元]市議 無新
大西理(おおにし・おさむ) 45 党県役員 共新
豊田麻子(とよだ・あさこ) 45 [元]副市長 無新
桑田恭子(くわた・きょうこ) 49 [元]市議 無新
松井一実(まつい・かずみ) 58 [元]中労委局長 無新=[自][公]
前島修(まえしま・おさむ) 37 会社員 無新
<立候補者一覧の見方>左から▽氏名▽年齢(投票日の4月10日現在)▽職業・肩書([元]は前職を含む)▽当選回数(カッコ内数字)▽政党▽現元新の別。=以下のカッコ内文字は推薦・支持政党。民[民]=民主▽自[自]=自民▽公[公]=公明▽共[共]=共産▽社[社]=社民▽国[国]=国民▽諸=諸派▽無=無所属
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鈴木康友(すずき・やすとも) 53 無現<2>
[元]衆院議員[歴]松下政経塾塾生▽民主党県幹事長・会長▽慶大
毎日新聞 2011年3月28日 東京朝刊