きょうの社説 2011年3月31日

◎復興予算の財源 国債で賄い、増税論封印を
 2011年度予算の成立を受け、今後の焦点は東日本大震災の被災者救済のための特別 立法や復興に向けた補正予算の編成準備に移った。内閣府の試算によれば、震災の直接被害額は16兆〜25兆円に上るという。原発事故や計画停電による影響を加味すれば、巨額の復興予算が必要になる。寸断された道路や港湾など、インフラ再建のための財源を建設国債で賄うのは当然として、被災者救援のための予算もやはり国債発行に頼るしかない。

 気になるのは、復興財源を確保するために、増税やむなしの声が政府・与党はもとより 、野党からも聞こえてくることだ。所得税や消費税への時限的な増税、節電や省エネを理由にした電力料金やガソリンに対する付加税の上乗せ案などが飛び交っている。

 だが、震災に伴う景気の落ち込みや復興への長い道のりを考えれば、増税は避けるべき だ。投入される巨額の財政資金は、被災地に膨大な雇用を生み、需要を喚起する。被害が大きく、多方面に及ぶために、需要はあらゆる産業に及ぶだろう。財源を国債で賄っても、投資した以上に国民所得が増える「乗数効果」が期待でき、最終的に財政支出の多くを税として取り戻せるのではないか。

 目先の財源にこだわって、増税に踏み切れば、復興による景気の維持・拡大に水を差す 。悲嘆に暮れる被災者にのしかかる負担も大きい。せっかく大型の復興予算を組むのだから、乗数効果を最大限に発揮できる仕組みを考えてほしい。角をためて牛を殺す愚を犯してはなるまい。

 また、日本経団連の米倉弘昌会長は来年度税制改正の目玉である法人税率引き下げにつ いて「やめていただいて結構」と見送りを容認する考えを示したが、日本の成長力を高めるための手段である法人税率の引き下げを、安易に断念してほしくない。

 新規国債の発行額を減らす手段は不要不急の歳出を削るだけにとどめたい。野党の協力 を得るために、子ども手当や高速道路無料化、高校授業料の実質無料化、農家の戸別所得補償など景気にさほど影響しないマニフェストなどを白紙に戻してはどうだろう。

◎被災地支援 スポーツ市民の心意気で
 プロ野球独立リーグのBCリーグは、今季の開幕を当初の予定から1週間遅らせて来月 16日とし、節電対策としてナイター試合の減灯や延長戦を行わないことを決めた。BCリーグが始まった4年前、所属チームが本拠地とする石川県で能登半島地震が、新潟県では中越沖地震が起き、リーグ内でも手厚い「支援のキャッチボール」を交換している。今回は、リーグを挙げてファンに募金などを求める予定だが、各チームでは、今こそ地域密着の「スポーツ市民」の心意気で、シーズンを通じた独自の震災支援企画を打ち出してほしい。

 野球に限らず、サッカーのツエーゲン金沢やカターレ富山など、石川、富山のスポーツ チームもまた、震災直後から復興支援試合や募金活動に乗り出している。

 BCリーグでは、各チームとも従来から独自の社会貢献策を実施し、不整脈などで倒れ た人を助ける自動体外式除細動器の普及やマナー啓発、さらには婚活支援まで幅広く取り組んできた。とりわけ多方面に甚大な被害をもたらした今回は、地域の熱い支援で支えられている「スポーツ市民」として何ができるか、真価が問われるシーズンとなろう。

 ファンとしても、より一層チームへの愛着をもって、できる限り球場や競技場に足を運 んで声援を送ると同時に、チームと一体で復興支援の取り組みに協力したい。

 BCリーグでは、東日本大震災の被災地である群馬県のチーム、ダイヤモンドペガサス を抱え、広い範囲が計画停電の該当地域でもあることを考慮して、同県内では4月29日まで試合を行わない。日程をやり繰りし、シーズン全体の試合数は予定通り前期、後期それぞれ36試合をこなすことで、大方のファンの理解も得られるだろう。減灯などに負けぬはつらつとしたプレーを期待したい。

 能登半島地震の際には、地元の石川ミリオンスターズをはじめとするリーグ所属の全チ ームが、ユニホームやヘルメットに「がんばろう能登」のロゴをつけてプレーした。リーグの一体感を高める心構えで取り組んでもらいたい。