原子力安全委員会は30日午後の記者会見で、東京電力福島第1原子力発電所の1~3号機について「圧力容器が損傷しているのは事実だろう」との見解を示した。1~3号機は原子炉に真水を注入するが、不安定な状態が続いている。タービン建屋などにたまった高い濃度の放射性物質を含む汚染水の排水作業も難航している。
圧力容器は核燃料を入れた原子炉の中心部分で、高圧に耐えるため厚い鋼鉄でできている。安全委の代谷誠治委員は「圧力容器と格納容器の圧力差が小さく、圧力容器が健全に保たれているとは思えない」と説明。具体的な損傷箇所は言及しなかったが、何らかの損傷があることを示唆した。
圧力容器は簡単にひびが入ったり、割れたりすることはないとされている。ただ燃料棒の真下の部分には核反応を抑える制御棒を出し入れするための穴があり、溶接部は弱い。経済産業省原子力安全・保安院は30日の会見で「制御棒を出し入れする部分が温度や圧力の変化で弱くなり、圧力容器から(水などが)漏れていることも考えられる」との見解を示した。
圧力容器自体が損傷すれば、冷却のための水を入れても水位が上がらず十分に燃料を冷やしきれないうえ、本来の冷却装置を動かすことができても、十分に冷却水が循環しない恐れもある。
福島第1原発では原子炉の温度が高い状態が続く。1号機の圧力容器の温度は30日午後2時にセ氏270度。水の注入量を増やした結果、29日より同約52度下がったものの、設計の上限(同302度)に近く依然として高い。2号機も30日午後2時で同174度と前日に比べて21度上昇した。
熱交換器など本格的な冷却装置の稼働に向けた作業を急ぐが、1~3号機とも冷却装置を動かすポンプがあるタービン建屋や屋外の坑道(トレンチ)には汚染水がある。4号機でも南側の建物内の地下で汚染水が見つかった。抜き出す作業を一部で始めたものの、思うように進んでいない。
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