そしてその草は、天を仰ぐように茎を曲げる。と、周囲にあった同種の草――比べると、これらは背が低め――が同じように曲がる。
揃って曲がっている彼らが、根の届く場所に鳥が落ちてくれれば養分に出来たのに、と思ったかどうかは、定かではない。
「少し前に、エルフヘイムに新しい予言者が生まれた、って話があったの、知ってる?」
暗殺シューズのスカイランナー・エンテ(cn0096)が首を傾げた。
「けど、新しい予言者さんの力はとても弱くて、元々持っている筈だった力の多くは、他の植物に奪われてしまっている、らしいんだ」
その植物を倒して、種の形になっている予言者の力を奪い返して欲しい、と彼女は言った。そうすれば、予言者はその種を食べて成長する事が出来る。予言者を助けることはエルフヘイムのためになる筈だ――とも。
「今回倒して欲しいのは、『ギシギシ』っていう植物。予言者さんの力を手に入れて、何だか凶暴になってしまってる、みたい。力の影響で、ボスは、大人の人くらいの大きさ、になってるよ。これさえ倒せば、種を取り戻せる筈。けど、周りには、ボスの力を分けて貰ったギシギシが、ボスを守るみたいに生えてるから、ボスだけ狙うのは難しいと思う。配下も、ボスほどじゃないけど、普通のと比べると結構大きいよ」
養分の摂り過ぎで、と口に出す事を躊躇って、エンテは一旦言葉を切った。
「……この草達は、自分から移動することは無いんだけど、生えてる場所の周りが泉になってて、草からの攻撃を受けて吹き飛ばされると、水に落ちちゃうかもしれないんだ。そんなに深く無いみたいだし、草以外の危険は特に無いから、上がるのにはそう苦労しないと思うんだけど、……辺りは日陰になってて、水、冷たいから、気をつけてね」
今から現場に向かうと、まだ肌寒い午前中に到着する。泳いで楽しい、と言うには結構難易度が高い状況だろう。
「配下になってるギシギシは、全部で六体。ボス含めて皆、葉っぱを槍のように使ったり、葉っぱとか茎とかを擦り合わせてヤな音を出したりして攻撃して来るよ」
それと、自己回復の力もある。エンテは説明を終えて、背筋を伸ばした。
「ギシギシが生えてる周りでは、森に棲んでる小動物が死んでしまう、のが増えてる、みたい。予言者さんの力を使って、そんなことをしてる、なんて、放っておいたら駄目な事、だと思うんだ。
だから、皆の力を、貸して下さい」
彼女は真面目な顔でそう言って、頭を下げた。
|
●予約するこのシナリオはサポート参加することができません。 予約締切は3月31日15時45分です。 予約に関する詳しい情報は、下の『予約について』をご覧ください。 |