河北抄

 震災後、営業を始めた店の前には、食料品や生活用品を求める住民で長蛇の列ができている。仙台市内のコンビニで目立つのは、ガラス窓に新聞紙がべたべた張ってある、異様ともいえる光景だ。
 「泥棒に入られるのを防ぐため、店内の品物が見えないように目隠ししているんです」と店員が話す。郊外にある系列店が被害に遭ったという。

 宮城県警によると、震災に乗じたとみられる盗難や万引が多発しているそうだ。店の現金や装飾品が盗まれたり、ガソリンスタンドが狙われたり。車上荒らしも起きている。震災の衝撃に追い打ちを掛けるような、悲しいニュースである。

 地震発生から6日目を迎え、家庭の食料品などが底を突きつつある。それでもみんな我慢の生活に耐えて頑張っている。スーパーでも何時間待ちになるか分からない列を乱すことなく並ぶ。住民の心を踏みにじる火事場泥棒的な振る舞いを、許すことはできない。
 8年前の宮城県連続地震では、ほうき1本が盗まれただけで悪質な犯行はなかった。市民のモラルも全国の目が注がれていることを忘れたくない。

2011年03月16日水曜日

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