北海道警組織犯罪対策課警部補の辻本幸夫被告(56)=地方公務員法違反罪で起訴=が、元風俗店経営者に個人の犯罪歴情報を漏らしたとされる事件で、道警は30日、辻本被告が元経営者から見返りに現金を受け取ったとして収賄容疑で再逮捕した。道警の現職警官が同容疑で逮捕されるのは初めて。元経営者の沢口将一被告(45)=同=も贈賄容疑で再逮捕した。
道警監察官室によると、辻本容疑者は昨年6月と7月の2回にわたり、沢口容疑者の店の従業員や客の犯罪歴情報、暴力団との関係の有無など道警が管理する数人分の個人情報を教えた見返りに、現金計20万円を受け取った疑い。いずれも容疑を認めているという。捜査情報の漏えいは確認されていない。
捜査幹部らによると、2人は10年近く前に飲食業界関係者を介して知り合った。辻本容疑者は札幌市のススキノ地区の情報を得て、沢口容疑者は警察官と親しくなり暴力団関係者を遠ざけたいとの思惑があったようだ。辻本容疑者は「(沢口容疑者に)情が移り、一線を越えてしまった」と供述しているという。現金授受も数年前からあった疑いが強いが、時期や経緯について2人の供述に食い違いがあり、確定はしていない。
沢口容疑者の店には2月に情報漏えいの疑いで、任意聴取を受けた後、高速道路で事故死した捜査4課の警部(当時50歳)ら複数の警官が出入りしていたとされる。道警はほかの警官に情報漏えいや現金授受がなかったか調べを進めている。【吉井理記】
毎日新聞 2011年3月31日 0時40分