指定暴力団山口組(総本部・神戸市灘区)6代目組長、篠田建市(通称・司忍)受刑者(69)の出所を目前に控え、兵庫県警が組織の動向を注視している。総本部の敷地内に篠田組長の居住スペースを準備する動きがあり、過去の組長同様、神戸を本拠地にする可能性がある。また、これを機に古参組長が引退するなど「組織再編」の動きも予想され、県警は情報収集を急いでいる。
県警によると、篠田組長は2005年8月末に組長に就任したが、3カ月後に銃刀法違反罪で実刑判決が確定し、府中刑務所(東京都府中市)に収監された。出所予定は4月9日。
県警が注目するのは、総本部敷地内にあり、組幹部が役員を務める不動産管理会社が入居していた建物。捜査関係者や登記簿によると、同社は昨年12月28日、総本部敷地外に本店所在地を移転し、元の建物の内装工事が始まった。
篠田組長は名古屋市に本拠を置く2次団体「弘道会」の出身だが、県警は、改装される建物を拠点に活動する可能性があるとみている。
4月1日に施行される県暴力団排除条例では、組長らの別宅施設の新設を規制しているが、「総本部敷地内の建物は既存の建物の一部を改装しただけなので、規制対象になりにくい」(県警幹部)との見方がある。
収監中の篠田組長に代わって長年、山口組の運営を担ってきたナンバー2の弘道会会長、高山清司被告(63)は昨年12月、恐喝罪で起訴され勾留中で、捜査幹部は「6代目組長の出所で組織がどう動くのか、長期的に動向を見極めたい」としている。
(2011/03/30 06:30)
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