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【滋賀】

元顧問と愛荘町を提訴 柔道死亡事故で遺族

2011年3月30日

亡くなった村川康嗣君の写真を前に、提訴後に会見に応じる母の弘美さん(右)と叔父の義弘さん=大津市内で

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 愛荘町秦荘中学校で2009年7月、1年生の村川康嗣君=当時(12)=が柔道部の練習中に意識不明となり、1カ月後に死亡した事故で、遺族が29日、元柔道部顧問の男性(28)と町に慰謝料など7571万円の支払いを求め、大津地裁に提訴した。

 訴状によると、村川君は初心者にもかかわらず、十分な受け身の練習をしないまま、09年7月29日、乱取り練習で一人残され、フラフラの状態で元顧問に大外刈りを返されて倒れた。そのまま意識を失い、病院に運ばれたが、8月24日に急性硬膜下血腫で死亡した。

 遺族は、無理な練習を続けさせた元顧問の行為が虐待であり、個人として責任があると主張。町には、元顧問の暴力的な指導を監視せず、学校の設置管理者として、事故を未然に防ぐ措置をとらなかった、安全配慮義務違反の責任があると訴えている。

 一方、愛荘町の村西俊雄町長は「訴状を受け取って内容を検討した上で、誠意をもって対応していきたい」との談話を発表した。

◆母「なぜ息子が命を」

 会見した母の弘美さん(43)は「なぜ息子は命を落とさなければいけなかったのか、どなたも教えてくれなかった。どこに責任があるのか何一つ分かっていないので、訴訟することに決めた」と、声を詰まらせた。

 全国柔道事故被害者の会副会長を務める叔父の義弘さん(49)は「過去27年間に中学高校の柔道事故で110人の子どもが死亡し、後遺症が残る事故も261件起きている。裁判を通じて、柔道を指導者の質や教え方を根本的に考えてほしい」と力を込めた。

 遺族に元顧問からも謝罪は一度もないといい、事故当日は病院で「頭は打っていません」と繰り返すだけだったという。

 

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