名古屋拘置所は30日、特定の被告に他の収容者や面会人の住所、氏名などを教えたとして、男性法務事務官3人を停職や減給の懲戒処分にし、うち副看守長(53)=停職6月=と看守(32)=同3月=を国家公務員法(守秘義務)違反容疑で名古屋地検に書類送検した。2人は「執拗(しつよう)に要求されたため教えた」と認め、同日付で依願退職した。また同拘置所は、別の法務事務官と、佐藤正人所長や島田佳雄前所長ら上司8人を訓告や厳重注意などの処分とした。
拘置所によると、副看守長は08年8月~09年11月、30歳代の被告の男に対し計27回、ほかの収容者47人の手紙の差出人や面会人、差し入れ人など計153人の住所、氏名、年齢のほか、収容者66人の罪名、拘置所職員8人の氏名などが記載された書面37枚を渡した。看守(32)も09年7月~10年2月、同じ被告に計7回、収容者58人の氏名などを教えていた。
10年9月に、この被告の部屋から書面が見つかり発覚。拘置所は、看守が規則に従わないことが多い被告を指導しやすくしようと要求を受け入れたとみている。
名古屋矯正管区の高橋裕紀区長は「矯正行政に対する信用を著しく失墜させ、きわめて遺憾。監督体制の強化など再発防止措置の徹底に努めたい」とコメントした。【稲垣衆史】
毎日新聞 2011年3月30日 14時09分(最終更新 3月30日 14時27分)