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避難範囲80キロ 米「日本と基準違う」 米軍にも影響

2011年3月17日11時1分

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 【ワシントン=伊藤宏】米政府が16日、福島第一原子力発電所から半径80キロ以内に住む住民に避難勧告を出したことは、米国内でも波紋を呼んだ。

 米ホワイトハウスで16日午後にあった定例記者会見では、米主要メディアの記者たちから「米政府はこれまで、日本にいる米国民に日本政府の情報に従うように呼びかけてきた。今度は米政府の情報を聞くようにと言うが、どちらなのか」など、日米両政府の見解の違いに関する質問がとんだ。

 これに対し、カーニー米大統領報道官は「この事故がもし米国で起きた場合に我々が出す勧告と、日本政府の勧告が違うということだ。情報の質や協力関係の問題ではなく、米政府の設けている基準が違うということだ」などと述べ、「米政府独自の判断」であることを強調して冷静な対応を求めた。

 日本との間で、直接影響が出そうなのが米軍による被災地への支援活動だ。

 米太平洋艦隊は米東部時間16日の時点で、東北沖など日本近海に空母や駆逐艦、揚陸艦など13隻を派遣し、在日米軍の海兵隊員ら約1万人の態勢で救出・捜索活動や支援物資の運搬にあたっている。しかし、福島第一原発の半径80キロ以内に許可無く入ることが禁じられたため、周辺地域での活動が制限されかねない。

 米国防総省はこれまでも福島第一原発からの放射能を強く警戒し、空母などの艦船を一時的に遠ざけるといった措置を取ってきた。同省のラパン副報道官によると、米軍は福島第一原発の消火活動には直接関与しておらず、米軍基地から提供した2台の消防車の運用も、日本側にゆだねるという。

 同報道官は「米兵は放射能や生物・化学物質の汚染地域での作戦用の装備を持ち、訓練も受けている」とし、日本政府の要請があれば原発への対応も可能だとした。ただ、「現在はほかの支援業務に忙殺されている」とも述べ、原発に絡む活動への米兵派遣に慎重な姿勢もにじませた。

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