事案が複雑です。分割出願するに当たって要旨変更となるような事項を追加し、それが看過されて登録され、その後、侵害訴訟にて「分割要件満たさないので出願日繰り下がり」の主張がなされました。特許権者は分割出願に追加した事項を取り除く訂正審判を請求しました。 審判では、親出願と訂正後を比較して、訂正後の発明が記載されていないとして請求棄却審決がなされました。この審決の取消訴訟で、裁判所は、訂正審判には独立特許要件(この場合進歩性)を判断しなければならず、そのためには、まず、分割が適法であるかを判断しなければならない。分割が適法であるかは、親出願と訂正前発明とを比較する必要があると判断しました。裁判所の考え方自体は現行法上、正しいのですが、これだと、分割要件満たさない特許を訂正で救うことはできないことになりますね。
平成21(行ケ)10065 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年04月14日 知的財産高等裁判所
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