高速増殖炉『もんじゅ』(福井県敦賀市)で原子炉容器内に落下した燃料交換用の炉内中継装置を担当していた燃料環境課長(57)が自殺していたことが今週、伝えられました。自殺の理由について日本原子力研究開発機構は何の説明もしていませんが、前後して報道された事項を並べると不審な巨額費用が目に付き、ありがちな鬱病症状からの自殺とは思えません。何かが隠されていて、それが自殺の引き金になっている可能性があります。
毎日新聞の《もんじゅ:現場課長自殺 “要”失い無念 「影響出ないように」》は「もんじゅの燃料取り扱いは、ナトリウムと空気が触れないようにするため、軽水炉よりも装置の構造や動作が複雑になる。このため今回落下した炉内中継装置のように、もんじゅ特有の機器も多い。課長は燃料の取扱設備についての特許もあり、この分野に長年一貫して携わってきた“スペシャリスト”だった」と報じています。本来、この現場に欠くことができない人物だったようです。
自殺があった13日前後の出来事を整理しましょう。変形して炉内から抜けなくなった炉内中継装置を、原子炉蓋の一部ごと引き抜く復旧作業を請け負うことになった東芝と契約したのが10日です。14日にはその記者発表が予定されていました。旧動燃の時代から第130回「もんじゅ判決は安全審査を弾劾した◆手続きの公正さ、技術レベルへ疑念」を参照していただけば判るように、『もんじゅ』では自前の設計などせず、完全に業者「丸投げ」で仕事をしてきました。契約が終わって課長の肩の荷は下りたはずでした。ところが日曜日の13日に家族に「ちょっと出てくる」と言い残して課長は外出し、山中で自殺したのでした。
14日に発表されたのは《もんじゅ復旧に13億8千万円 装置落下事故》(福井新聞)でした。「原子力機構によると、変形して使えなくなった装置を新造するのに約4億4千万円、装置回収に使う器具の製造などに約9億4千万円が必要で、いずれも東芝と契約を結んだ」
そして15日になると朝日新聞が《もんじゅ装置落下、復旧に17億円》と大きく違う金額の記事を書きました。「落下した装置の状態を観察する3億7千万円の作業を同社と随意契約したほか、計9億4千万円に達する装置本体の引き抜きと復旧作業も随意契約で発注した。4億4千万円かかる新しい炉内中継装置の製作は一般競争入札にしようとしたが、同社しか応札しなかった」
「落下した装置の状態を観察する3億7千万円」はなぜか当初の記者発表から隠されていたようです。そして、穴から抜けなくなっている炉内中継装置を詰まっている穴周りの大型金属リングごと引き上げるために、こんなに巨額の事前観察費用が必要でしょうか。既に1月18日には「炉内中継装置のこれまでの状況及び今後の進め方」が公表されて、詳細な観察結果は表に出ています。
撤去作業の妥当性を助言する検討委員会の第1回は1月18日、第2回は2月24日でした。下の工程図では「落下状況等の調査・分析」はもう終わりに近づいていますし、実務作業は始まっています。どこで3億7千万円も使う場面があるのでしょうか。
これだけ大きなお金は人件費では使い切れず、かなりの装置を作ることが前提でしょう。本当は別な事柄をするための隠れ蓑になっている可能性があります。ここに隠された重大問題があって、自殺した課長の心労になっていたストーリーなら理解できます。
毎日新聞の《もんじゅ:現場課長自殺 “要”失い無念 「影響出ないように」》は「もんじゅの燃料取り扱いは、ナトリウムと空気が触れないようにするため、軽水炉よりも装置の構造や動作が複雑になる。このため今回落下した炉内中継装置のように、もんじゅ特有の機器も多い。課長は燃料の取扱設備についての特許もあり、この分野に長年一貫して携わってきた“スペシャリスト”だった」と報じています。本来、この現場に欠くことができない人物だったようです。
自殺があった13日前後の出来事を整理しましょう。変形して炉内から抜けなくなった炉内中継装置を、原子炉蓋の一部ごと引き抜く復旧作業を請け負うことになった東芝と契約したのが10日です。14日にはその記者発表が予定されていました。旧動燃の時代から第130回「もんじゅ判決は安全審査を弾劾した◆手続きの公正さ、技術レベルへ疑念」を参照していただけば判るように、『もんじゅ』では自前の設計などせず、完全に業者「丸投げ」で仕事をしてきました。契約が終わって課長の肩の荷は下りたはずでした。ところが日曜日の13日に家族に「ちょっと出てくる」と言い残して課長は外出し、山中で自殺したのでした。
14日に発表されたのは《もんじゅ復旧に13億8千万円 装置落下事故》(福井新聞)でした。「原子力機構によると、変形して使えなくなった装置を新造するのに約4億4千万円、装置回収に使う器具の製造などに約9億4千万円が必要で、いずれも東芝と契約を結んだ」
そして15日になると朝日新聞が《もんじゅ装置落下、復旧に17億円》と大きく違う金額の記事を書きました。「落下した装置の状態を観察する3億7千万円の作業を同社と随意契約したほか、計9億4千万円に達する装置本体の引き抜きと復旧作業も随意契約で発注した。4億4千万円かかる新しい炉内中継装置の製作は一般競争入札にしようとしたが、同社しか応札しなかった」
「落下した装置の状態を観察する3億7千万円」はなぜか当初の記者発表から隠されていたようです。そして、穴から抜けなくなっている炉内中継装置を詰まっている穴周りの大型金属リングごと引き上げるために、こんなに巨額の事前観察費用が必要でしょうか。既に1月18日には「炉内中継装置のこれまでの状況及び今後の進め方」が公表されて、詳細な観察結果は表に出ています。
撤去作業の妥当性を助言する検討委員会の第1回は1月18日、第2回は2月24日でした。下の工程図では「落下状況等の調査・分析」はもう終わりに近づいていますし、実務作業は始まっています。どこで3億7千万円も使う場面があるのでしょうか。
これだけ大きなお金は人件費では使い切れず、かなりの装置を作ることが前提でしょう。本当は別な事柄をするための隠れ蓑になっている可能性があります。ここに隠された重大問題があって、自殺した課長の心労になっていたストーリーなら理解できます。
Blog vs. Media 時評 最新記事
- 福島、女川など3原発、津波高さと対策が判明- 22日12時13分(42)
- 大失態はご破算にして日本の技術力を見せよう- 20日08時03分(29)
- 原発所内の電源回復が大惨事を防ぐには必須- 16日13時36分(50)
- 福島第一原発3号機も炉心溶融、後手の連続- 13日13時22分(5)
- 福島第一原発は既に大きく壊れている可能性(追補あり)- 12日17時21分(142)
- 中国の原発、無謀とも見える大増設は大丈夫か- 10日16時19分(16)
- 高速炉もんじゅ落下装置の引き抜きは困難- 07日14時12分(23)
- 入試カンニング:メディアも大学も踏み外し過ぎ- 04日15時07分(79)
- 『もんじゅ』課長自殺周辺の不審な巨額費用- 26日00時08分(105)
- 自民党組み替え予算案は政権奪取資格無し証明- 24日11時28分(118)
BLOGOS アクセスランキング
- 恐るべき楽観主義 - 29日12時46分(195)
- 社会部育ちの悲しく哀しいこの姿 - 28日23時00分(98)
- 原発作業員の命を守るために - 28日18時08分(148)
- いい人に会社は経営できない - 『ユニクロ帝国の光と影』 - 27日17時20分(221)
- シビルとミリタリー - 28日12時24分(225)
- その時、芸人たちは何を語ったか。 - 27日09時00分(105)
- 軍事無視のツケ - 27日14時25分(338)
- マスメディアと読者の相互作用 - 29日02時04分(21)
- 震災後の仙台を歩く - 27日09時00分(173)
- 【加筆版】外国人被災者7万5000人の現状 - 29日15時41分(13)