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石巻・大川小 津波で94人不明 救出の只野君「くじけない」

目に軽傷を負っただけで奇跡的に助かった只野君。祖母アキ子さんが手を握りしめた=避難所の石巻市河北総合センター

 大津波にのみ込まれ、児童108人のうち84人、教職員13人のうち10人が行方不明となった宮城県石巻市大川小。北上川の河口にほど近い学校で起こった現実を、どう伝えたらいいのだろうか。

 児童が下校準備をしているとき、地震が起きた。全員が校庭に避難した。児童の一部は迎えに来た親と帰宅したが、校庭に残った子どもたちが悲劇に見舞われた。

 「ゴーという音と一緒に、川から津波が襲ってきた。みんなで校庭の脇の山に登ろうとしたけど、間に合わなかった」。5年生の只野哲也君(11)も濁流に飲み込まれ、気が付くと山の中に体が半分埋まっていた。そばにいた友達に助け出され、九死に一生を得た。

 が、校庭で一緒にいたはずの2年生の妹は行方不明。祖父の安否は分からず、母は遺体で見つかった。父と祖母とは避難所でようやく再会できた。
 只野君の母は震災当日が誕生日だった。夜には家族みんなで盛大に誕生会を開くはずだった。「妹は誕生会の進行を考えていて、とても楽しみにしていたのに…」

 捜索が進む現場では、毎日のように子どもたちの遺体が見つかっている。むごたらしい現実を目の当たりにしてもなお、只野君は「みんな生きていてくれると信じたい」と語り「僕もくじけていられない」と自らを奮い立たせる。

 只野君の祖母アキ子さん(64)が、涙声で思いの丈を振り絞った。「私が死んだ方がましだった。哲也には、被害に遭った子どもたちの分もしっかり生きてほしい」
(成田浩二、狭間優作)


2011年03月20日日曜日


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