3月28日の情報

遺体から高放射線 収容を断念

福島第一原子力発電所から5キロ余り離れた福島県大熊町で27日、警察が男性の遺体を発見しましたが、除染が必要な量の放射性物質が測定されたため、収容を断念していたことが分かりました。
警察庁は、今後も同じようなケースが起きる可能性があることから、専門家の意見を聞いて対応を検討したいとしています。
警察庁によりますと、遺体が見つかったのは、福島第一原子力発電所から5キロ余り離れた大熊町の作業場の敷地で「男性の遺体がある」という通報を受けて、27日、福島県警察本部の機動隊員など15人が防護服で現場に入り、遺体を確認しました。
しかし、遺体からは除染が必要な量の放射性物質が測定されたため、機動隊員らの安全を考慮して、遺体を近くに安置したうえで収容を断念したということです。
福島第一原子力発電所から半径10キロ以内では、警察は原則として遺体の捜索などの活動は行っていませんが、警察庁は「今回のように具体的な情報がある場合は、安全を確保したうえで、10キロ圏内に入ることもある」としています。 警察庁は、原発の周辺では、今後も同じようなケースが起きる可能性があることから、安全性の確保などについて、放射線の専門家の意見を聞いて対応を検討したいとしています。

3月28日 21:55更新

全国の原発 津波対策追われる

津波で施設が壊れて電源が確保できなくなり、深刻な事態に至った福島第一原子力発電所の事故を受けて、NHKが原発を抱える電力会社に尋ねたところ、全国の原発で津波の対応に追われている実態が明らかになりました。
各地で非常用の発電機を増やしたり、緊急の訓練を実施したりしていて、今回の原発事故の波紋が広がっています。
NHKは、東京電力の福島第一原発と福島第二原発を除く全国15か所の原発を対象に、電力会社10社に事故後の津波への対応を尋ねました。
福島第一原発では、想定の2倍を超える14メートル以上の津波を観測しましたが、各地の原発が想定している津波の高さを尋ねたところ、最も高かったのが北海道にある北海道電力の泊原発で9メートル80センチ、最も低かったのが福井県にある関西電力の高浜原発で74センチでした。
次に、「事故のあとに決めた津波対策」があるかを尋ねたところ、15か所すべてで「ある」と答えました。
このうち、北海道電力の泊原発では、想定している津波の高さとほぼ同じ、標高10メートルの場所に原子炉がある建物など重要な施設があり、今後、施設の入り口で浸水を防ぐ対策を取ることになりました。
また、静岡県にある中部電力の浜岡原発では、海側にある高さ10メートル以上の砂丘で津波を食い止められるとしていますが、事故を受けて、砂丘と原発の間に新たに高さ12メートル以上の津波を防ぐための壁を設置することを決めました。
また、全体の9割余りの原発で、新たに非常用の電源車や持ち運びできる発電機などを導入することを決めていて、島根県にある中国電力の島根原発では、高さ40メートルの高台に非常用の発電機を増設することを検討しています。
さらに、事故と同じような想定で訓練を行う動きも出ていて、3か所の原発を抱える関西電力は、非常用の発電機が故障したという想定で、原発を操作する中央制御室のシミュレーターを使って原子炉を冷やす手順を確認したということです。
全国の原発で、津波の対応に追われていることについて、経済産業省の原子力安全・保安院は「まずは、事故の収束に全力を挙げることが大事だが、今後、津波対策について徹底的に検証し、再発防止に取り組むことが必要だ」としています。

3月28日 20:20更新

原発周辺 29日朝まで西風

気象庁によりますと、福島第一原子力発電所の周辺では、28日夕方には西の陸側から東の海側へ向かう弱い風が吹いているとみられます。
風向きは、29日の朝にかけてほとんど変わらない見込みですが、この日の昼前から夕方にかけては南から北へ向かう弱い風に変わると予想されています。

3月28日 18:45更新

“暫定基準 説明が不十分”

福島県産などの一部の野菜から国の暫定基準を超える放射性物質が検出された問題で、政府は、これまでこの暫定基準は一生食べ続けた場合の数値と説明してきましたが、実際には放射性物質が次第に減少することを前提とした一時的なものであることが分かりました。
暫定基準の基になる指標を作った原子力安全委員会事務局は、「健康への問題はないと考えているが、前提条件についての説明が不十分だった」と話しています。
福島第一原子力発電所の事故で、厚生労働省は、今月17日、原子力安全委員会の指標に基づいて食品に含まれる放射性物質の暫定基準を設定し、基準を超える食品については食用にしないよう求めています。
これを受けて、政府は「一生食べ続けるのでなければ健康に影響が生じない低い値」と説明し、この基準が一生食べ続けた場合の数値を示しているとしてきました。
しかし、この暫定基準の基となった指標を作成した原子力安全委員会ワーキンググループの元委員、須賀新一さんは、あくまで放射性物質が一度だけ放出されて、次第に減少していくことを前提とした一時的な指標であることを明らかにしました。 特に人体への影響が大きいとされる放射性ヨウ素については、基準の上限の値で長期間取り続けると想定している被ばく量を超えるおそれがあると指摘しています。
今回、検出された放射性物質の値では、食品などを通じて健康に影響が生じるおそれはほとんどないということですが、政府は正確な情報を改めて説明することが求められます。
原子力安全委員会事務局の都筑秀明課長は「健康への問題はないと考えているが、前提条件についての説明が不十分だった」と話しています。

3月28日 18:45更新

各地の放射線量 やや減少傾向

各地の自治体などで、これまでに観測された大気中の放射線量は、福島県や宮城県、茨城県などで、震災の前に観測されていた通常の値よりもやや高い数値が計測されましたが、ほとんどの地点でやや下がる傾向が続いています。
28日午前0時から午前9時までの各地の観測によりますと、福島県では、福島第一原子力発電所から北西に65キロほど離れた福島市で午前1時に1時間当たり3.84マイクロシーベルト、郡山市では午前4時に1時間当たり3.07マイクロシーベルト、南相馬市では午前9時などに1時間当たり1.01マイクロシーベルト、いわき市では午前3時に1時間当たり0.96マイクロシーベルトと、いずれも通常よりも高い放射線量を計測しました。
宮城県では、福島第一原発から北東に120キロほど離れた女川町の女川原発で午前2時10分に1時間当たり0.74マイクロシーベルト、茨城県では、北茨城市で午前7時半に1時間当たり0.80マイクロシーベルト、水戸市で午前0時半などに1時間当たり0.23マイクロシーベルトと、いずれも通常よりやや高い数値を計測しました。
また、栃木県の宇都宮市、群馬県の前橋市、神奈川県の川崎市と横須賀市、それに茅ヶ崎市、東京の新宿区、さいたま市、千葉県の市原市のそれぞれの観測地点でも通常よりもやや高い数値を計測しました。
しかし、大気中の放射線量はほとんどの地点でやや下がる傾向で、これらの数値の放射線を浴びたとしても、健康に影響が出るレベルではないということです。
一方、札幌市、青森市、秋田市、岩手県の盛岡市、山形市、静岡市、新潟県の柏崎市、甲府市、長野市などでは通常以上の放射線量は計測されませんでした。

3月28日 13:45更新

枝野官房長官会見(全映像掲載)

・避難指示圏内立ち入り控えるよう呼びかけ

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・質疑応答

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3月28日 13:05更新

屋内退避圏 自宅に戻る例増加

屋内退避の指示が出ている福島第一原子力発電所の半径20キロから30キロの範囲の地域で、一度避難した住民が自宅に戻るケースが増えているという地元の自治体からの報告が相次いでいることから、福島県は、政府に対し、この地域への生活物資の輸送や医療の確保などを求めることにしています。
政府は、屋内退避の指示が出ている福島第一原発の半径20キロから30キロの範囲の地域について、必要な物資が届かず、日常生活が困難になってきているとして、住民に自主避難を促すとともに、避難指示が出たら速やかに避難できるよう、地元自治体に準備を指示しています。
しかし、福島県などによりますと、この範囲の地域では、日中に車の往来が増えたり、夜間にともる家の明かりが増えているといった事例が、自治体などから相次いで報告されているということです。
県では、いったん避難したあと、長期化する避難生活に疲れたお年寄りや家を空けるのが心配な人などが自宅に戻っているものとみています。
このため、福島県は、政府に対し、この地域への生活物資の輸送や、医師や看護師の派遣など対策を講じるよう、求めていくことにしています。
福島県では「この区域に住む人への支援は必要で、政府、自衛隊とも連携を取りながら、しっかりと対応していきたい」と話しています。

3月28日 4:20更新