期間限定(3/22〜6/30)無料PDF版公開!

※無料公開版は、目次、序章と謝辞、第1章の約40ページ分を収録しています。

海賊の経済学 - 見えざるフックの秘密 3月22日(火)発売

ピーター・T・リーソン 山形浩生 訳 定価1,995円(本体1,900円+税)四六判上製 328ページ 「海賊は合理的な経済人だった!面白くてしかもためになる。レヴィットらの『ヤバい経済学』に続くひさびさに痛快な経済書だ。」早稲田大学政治経済学術院教授 若田部昌澄氏絶賛!

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  • ※ダウンロードは、3/22(火)午前11時より開始となります。
  • ※ダウンロードできる期間は、2011/6/30(木)午後6時までです。
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「訳者あとがき」より

・・・海賊は通俗イメージの中でもかなり矛盾した存在だ。そしてその実態を見ても、かれらはとても不思議な集団だった。本書の記述を引用すると、

 「経済学がなければ、海賊たちはわけのわからん矛盾のかたまりだ。サディストなのに平和主義。女好きなのにホモ。お宝を追い求める社会主義者。頭がおかしいはずなのに当局を出し抜いてしまう。こっそり立ち回る犯罪者のはずなのに、髑髏と骨のぶっちがいの旗で自分の存在を派手に宣伝する。リバータリアンのはずなのに仲間のほとんどは無理強いされて参加。民主主義なのに独裁的な船長、無法者のアナキストなのに厳しい規則の下で生活。拷問好きのテロリストなのに、正直な人々から崇拝される。」

 従来の海賊関連の本は、こうした必ずしも一貫しない各種の特性を「あれもあればこれもあったらしい、海賊もいろいろです」と羅列するにとどめる場合が多かった。本書は、こうした海賊の不思議な矛盾した生き様を、経済学的な分析――それも利己的な利潤追求と合理性という、何のひねりもない経済学初歩の前提だけで導き、不思議に思えた海賊たちの行動が、実はちゃんとした合理性に基づいていたことを示してくれる。かれらのやったことには、根拠と意味があった。単なる気まぐれではないのだ。

 そして海賊という楽しくも意外な例を使って、本書はインセンティブ、プリンシパル・エージェント問題、ガバナンス問題、フリーライダー問題、意思決定コスト、規制緩和、シグナリング&ブランディングといった経済学の概念を非常にわかりやすく説明してくれる。

 そして重要なのは、海賊たちが別に経済学なんか何も知らないのに、そうした高度な概念に基づく制度を構築していたということだ。私利私欲の追求だけで、それが実現できてしまうのだ。そしてどん欲な犯罪者集団である――つまり通常でいえばワルいやつらであるにもかかわらず、かれらは平等とか分権制とか民主制といった、好ましいどころか当時としては異様に先進的な制度を生み出した。いや、「にもかかわらず」ではない。むしろそうした私利私欲まみれのごうつくばりだったからこそ、そうした制度が生まれた。そう考えると、一見奇妙に思える海賊たちの行動も、かなりすっきり説明できてしまうのだ。

 さてこれだけなら、いやぁ昔はおもしろい連中がいたもんです、ということで終わってしまう。でも本書はもっと大きな意義も持つ。そしてそれは、リーマンショック以後の経済学的な議論においても、かなり重要なものだ。・・・

著者紹介

ピーター・T・リーソン(PETER T. LEESON)
1979年生まれ。ジョージ・メイソン大学経済学部教授。2005年に同大学にてPh.D.を取得。ウエスト・バージニア大学助教授を経て、2007年より現職。2009〜2010年には、シカゴ大学で客員教授も務めた。小さなときから海賊と経済学に関心をもち、右腕には需要供給曲線の刺青を入れているちょっと変わった経済学者。迷信についての研究も進めている。本書が代表作であるが、その他の著書に、Media, Development, and Institutional Change(C. Coyneと共著)等がある。

ピーター・T・リーソン

訳者紹介

山形 浩生(やまがた・ひろお)
1964年生まれ。東京大学都市工学科修士課程およびマサチューセッツ工科大学不動産センター修士課程修了。大手調査会社に勤務するかたわら、科学、文化、経済からコンピュータまで広範な分野での翻訳、執筆活動をおこなう。おもな著書に、『たかがバロウズ本』(大村書店)、『教養としてのコンピュータ』(アスキー新書)、『新教養主義宣言』『要するに』(以上、河出文庫)、『訳者解説』(バジリコ)など。おもな訳書に、『その数学が戦略を決める』(文春文庫)、『アニマルスピリット』(東洋経済新報社)、『戦争の経済学』(バジリコ)、『自由は進化する』『誘惑される意志』『「意識」を語る』『〈反〉知的独占』(以上、NTT出版)など多数。

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