警視庁、著作権法違反で捜査に着手!  さらに今月、168万円の支払い求め東京地裁へ提訴―転売無職男(38歳)の<人生と愚行>を家族、親類、元同僚、行政、弁護士への総力取材で丸裸にする渾身のルポ!!

ヤフオクでの著作権侵害の摘発に力を入れ始めた警視庁と弊社が提訴した東京地裁

オークションサイトでの著作物転売も
警察が積極摘発へ

ネットオークションでの著作権法違反による摘発が相次いでいる。

「ダイエットDVDのコアリズムのコピー販売で今年だけで二人の逮捕者が出ています。これまで当局は映画の海賊版や偽ブランド品の摘発などには力を入れていましたが、今後はダイエットDVDのレベルでもコピー販売で逮捕するという方針でしょう。大手ネットオークションには語学や資格取得教材等のコピー販売が横行していますから今後は摘発が相次ぐでしょう」(全国紙司法担当記者)。


知財侵害犯への摘発が相次ぐ

コアリズムとは、女性お笑いタレントが腰を振るCMが話題になったダイエットダンスの指導DVDセット。今年5月28日、警視庁麹町署に著作権法違反の容疑で逮捕された滋賀県の無職原沢里奈容疑者(29=当時)は1年間でおよそ300万円を売上げていた。又、10月7日に山口県警に逮捕された会社役員岡本祐也容疑者(24)宅からは「2000枚以上のDVDを押収した。大掛かりだよ。目下余罪を追及中です」(捜査関係者)と全容解明が進められている。発売元のオークロンマーケティングは、「これからも断固たる措置を講じていく」と違法販売者と闘う姿勢。


ヤフーも頭を悩ます著作権侵害問題

著作物の無断複製販売は「5年以下の懲役又は500万円以下の罰金、又はこれらの併科」(著作権法119条)と厳しいものの「ネットオークションを使えば簡単に販売できるから極めて敷居の低い犯罪」(前出記者)という性質から、その犯行は後を絶たない。

このような折、遂に弊社もその被害に遭うこととなった。ヤフーオークションで繰り返し「E-BOOK白書」シリーズのPDFファイルを複製して販売する男が現れたのである。容疑の男は神奈川県川崎市在住の無職、袴田譲(38歳=仮名)。実名でもいいが、係争中なのでひとまず仮名とする。今後必要に応じて実名報道に切り替えていく予定。

「E−BOOK白書」が
ヤフーオークションに次々出品


販売サイトも勝手にコピーされた

袴田は平成20年4月19日から同年7月24日の間、インターネットのオークションサイト「Yahoo!JAPAN」に弊社の「E-BOOK白書」投資編やその関連商品、特典等のPDFファイルを1000円から9800円で出品、判明した分だけでも20人に対し定価528,000円分を売り捌いていた。

弊社が袴田の行為を認知したのは、今年6月にアフィリエイターからの通報がきっかけである。「アフィリエイターの機会損失になるから法的対応を」という強い働きかけがメールで送られてきた。弊社は早速この販売者の身元と証拠を保全するため、弁護士を通じてヤフーに対し本人情報や取引履歴の開示請求を行うと同時に、スタッフが客として出品された「E-BOOK白書」を購入するなど法的行動の準備を進めていた。


内容証明で警告

調査の結果袴田の身元が判明、振込先に指定していた銀行や郵貯口座なども全て実名で開設されており、届け出住所に居住していることを確認した。弊社は7月30日、顧問弁護士名で即刻販売を停止すること、そして弊社の逸失利益の支払いを求め、回答が無い場合は、刑事告訴と民事訴訟を提起することを通知する内容証明を送付した。

「私は確信犯」居直る無職男

ところが袴田は指定された口座に損害賠償金を振り込まないばかりか、その後も「E-BOOK白書」を次々に出品、挙句に袴田の行為に対して前出のアフィリエイター氏が問いただすメールを送ったところ、次のような主張を表明したのである。

「私はあらゆる嫌がらせにも屈せず、確信犯的に出品しております。ネット商材業界の是正を図るのが目的です」
「裁判も辞さない覚悟でいますが、発行元から届いたのは嫌がらせの手紙だけでした」
「ボッタクリ同然の商材が大手をふるって高価な価格で売られている中、(クーリングオフもなしに)裁判で、ネット商材のあり方を正そうと信念を持ってやっています。」

ネット商材のあり方を正そうという主張と、ネットオークションで他人の著作物をコピー販売する事は全く結びつかない。支離滅裂な主張である。ただ一つ言えることは、袴田は「確信犯」で「裁判も辞さない」覚悟で法を犯し続けているということである。これは確信犯の犯罪者である。警察の出番だ。

警視庁が捜査開始

8月16日、顧問弁護士を通じ、警視庁生活安全課に袴田の身元情報と共に被害届を提出した。届けを受けた警察は早速袴田を任意で同署へ呼び、任意取り調べを行ったところ「確信犯的に出品」の姿勢はどこえやら、呆気なく素直に犯行を認め、さらには当局へ「反省と全面降伏」の上申書を提出するに至ったのだった。

当局の迅速な対応はやや意外だった。上申書の内容は、即座に「Yahoo!JAPAN」から弊社E-BOOK白書関連商品の出品を取り下げることを約束し、二度と犯行を行わないことを誓約、当局の寛大な措置を求めるという、極めて従順なものである。これを受け、警察では捜査を中断して目下のところ処分を保留している。

9月10日、弊社顧問弁護士が袴田に対して最後通牒となる内容証明を送った。このまま弊社が求める損害賠償に応じない場合は、逸失利益のみならず袴田の行為によって生じた弊社の業務上の支障に伴う損害や弁護士費用も含めた損害賠償請求訴訟を提起するというものである。

一方、誠意をもって対応すれば、逸失利益以外の求償は放棄して和解をし、著作権法119条違反での告訴活動も中止するという助け船も出したのだった。4日後、袴田からは手書きの「回答書」なるものが届けられた。非常に拙い文面である。


生活保護受給書を送りつけてきた転売男

「当方、生活保護を受けており、月額137,700円で生活しております。理由はうつ、統合失調症によるものです。(略)よってどのような形で請求されても払えないのが実情です。裁判を実行され、判決が出たとしても支払いは無理かと思われます」そして、生活保護の受給証明書が添付されていた。袴田は平成20年11月20日から生活保護を受給していたのである。

うつ病で生活保護を受けながら
ヤフオクで稼ぐ男の素性とは

いったい袴田とはどんな男なのか? 早速袴田の周辺を洗ってみた。袴田は昭和46年、神奈川県生まれ。親戚によれば神奈川県内の野球とサッカーの強豪で知られる有名進学校から「都の西北」に位置する名門大学の教育学部に進み、日本を代表する大手証券会社に就職した。順風満帆な人生のスタートを切ったといえる。


職を転々と D証券、N証券、T塾

しかし、袴田は2年後の平成9年に突然退職し、職を転々。ここ2年間だけでも大手証券会社、財閥系生命保険会社、地元の学習塾、プレハブ住宅会社と転々、袴田の人生はまさに流浪というほかない。

昨年秋まで袴田が約1年間正社員の講師として勤務した地元学習塾の関係者は袴田についてこう語る。
「ああ、袴田さんですか。覚えていますよ。生徒や父兄、ほかの先生からの評価が悪かったようですね。怠惰な動き方しかしない。なまけものですよね。教師として細かいところまで目がいき届かないとか。それでやり玉にあげられてしまい、いたたまれなくなって辞めた。」

正社員だった塾の元同僚が引き継ぐ。
「なにを言われても、その場はかしこまって謝り改善を約束するが、すぐに同じミスをするタイプだったな。一、二ヶ月するとおなじことをやらかすので、同僚は、あいつには何回いっても無駄だ、みたいな評価ですね。そうした素養は生徒にも伝わり舐められてしまう。この仕事は向いていないんじゃないかってことで、自ら辞表を出している。チョビチョビした遅刻、10分20分という遅刻は多かった。だらしないタイプであることは間違いないですよ」

男のアパートにアポなし突撃

すこぶる評判が悪いのである。では、張本人袴田の顔を拝もうではないか…記者は小田急線沿線の瀟洒な住宅街に佇む袴田の住むアパートを目指した。

休日の夕刻、袴田は部屋に居た。記者が取材主旨を告げるとドアのチェーンをつけたまま、終始うつむき気味で語る。しかも消え入るような小声だ。

―あなたの著作権に対する認識を聞かせてください
「ぶつぶつぶつ……病気なんです勘弁してください」

―病気というのは?
「調子悪いんです……」

―著作権法違反は認識しつつも販売を続けていたんですよ
「よくわかんない」(こどもがいやがるような表情)

―著作権を侵害していたという認識はなかったということか?
「そうですそうです」(もうなんでもいいよという表情)

―他にはどんな商品を扱っていたんですか?
「ぶつぶつぶつ……」(聞き取れず)

―え?
「ぶつぶつぶつ……」(聞き取れず)

―え?
「もういいですよ……」

ドアを一方的に閉め、その後袴田が記者の問いかけに応えることはなく、深夜まで外出することもなかった。翌日は平日ながら午後3時まで彼は一歩も部屋を出ず、籠城を決め込んだのだった。

息子の尻拭いに疲弊する母親を実家で直撃

どうやら鬱病というのはウソではなさそうな雰囲気である。しかし、鬱病なら犯罪を犯していいという道理は当然、ない。隣接市に居住する両親はいったいこの不肖の息子とどうか関わっているのか? 両親が暮らす実家へ向かった。父親は不在のため、代わりに記者の取材に応える母親はやつれきった表情だ。


自己破産寸前に袴田は妹に持ち分を贈与。
右はバカ息子の代わりに玄関先で詫びる母親

―生活保護を受けながら収入行為をするのもまずいですが、ヤフオクで他人の著作物を公然と転売するのは、どうも自暴自棄というか、人生を投げているニュアンスを感じますが?

記者が率直な感想を投げかけた。
「そうですね……そういうのありますね……。自分でもからだも思うようにいかないし、生活保護を受けて一生こうやって生きていくのかと気持ちもあって悩んでいると思います……」

―ご実家でご支援などはできないのですか?
「わたしどもにもいろいろあって、経済的な問題で援助できないのです」

―投資用マンションの件ですか?
「そうです」

袴田は平成19年、マンション投資の失敗から返済不能に陥り自己破産をしている。この破産によって財閥系生命保険会社を退職に追い込まれている。

―金銭的なバックアップができないにしても、精神面での支えはできないのか。
最後に記者が問うと
「やるんですけど、もう本人も気持ちが荒れてしまっていますから、難しいですよね……。先を見据えた話し合いができる状態ではありません……。病気から来るなんというか……。ぜんそくも鬱病も両方ですよね」

背中を丸めて自問するように呟く母親は
「それで、親に支払えっていうことでしょうか……?」
息子の起こした不始末の行方を何度も何度も記者に尋ねてきた。尻拭いに疲弊した老女の姿が痛々しい。

しかし、鬱病を抱えた袴田は、ネットオークションで毎月コンスタントに出品、昨年9月からだけでも175点を落札させ、取引相手からは上々の評価を獲得しているのである。無収入を装って生活保護を受給することが許されるわけがない。


落札者からは好評価が続く転売「鬱男」

一方こんなで証言がある。
「袴田は町田界隈で行きつけの店がありましてね。結構はしゃいでいましたよ。とくにLって店には通っていたな」(友人)

記者が尋ねたLは外国人女性を専門にした風俗店である。まさか今も生活保護と犯罪収益で風俗三昧、ってことはないよな袴田クン?

川崎市は生活保護の不正受給を許すな


川崎市は袴田を刑事告発せよ

袴田は、収入が無いということで川崎市から月額137,700円の生活保護を受給している。生活保護法第8条で「金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行うものとする。」とされており、収入が発生した場合は役所に届を行う義務を負っている。(第61条)これを行わず収入を隠匿して生活保護を受け取る行為は不正受給であり、生活保護法に違反する。川崎市の麻生区役所を直撃した。取材対応は保健福祉サービス課の生活保護主幹。

―収入を隠して生活保護を受給するのは生活保護法違反では?
「他人の著作物をヤフオクで不正に転売しそれで収入を得ていたとして、それを申告していないのであれば、不正受給として、生活保護法78条に基づいて返還を求めることになります。」

―ヤフオクの売上金分の生活保護は国庫に返還されるべきでは?
「一年に一回、わたくしどもでも本人から収入申告を取っています。本人から「収入がありません」という申告を取るんですね。しかし今回のようなケースで、もし収入があるのであれば、本人に説明を求めて、そのなかでたしかにおかしいということになれば公費の返還を求めるんです。時効の関係で5年前まで遡ります。」

―具体的には?
「出版社の被害額が48万円とのことですが、他にもあるのであれば、それを含めた調査をして、返還額を決めます。」

川崎市、刑事告発も視野に
袴田の調査に乗り出す

―大切な国民の血税が不正に受給されている。刑事事件化するべきではないか?
「新聞などでも報道されている通り、暴力団が生活保護不正受給で逮捕されている。悪質な事例であれば、司直の判断を仰がないといけない場合もあるので、警察などとの連携もおこないながら、調査を進めたい」

―告発に至る事例を教えてください?
「生活保護の不正受給は全国的に横行しているのが実態。暴力団しかり、母子家庭の高校生がアルバイトをしているケースしかり。どちらも生活保護法78条に基づき、返還を求めるが、刑事告発するかどうかは、状況を調査して個別に対応している。」

―受給審査が甘いのではないか?
「鬱病を理由に生活保護を受給しているとのことですが、そこに入られてしまうと、私たちもなにもできない。鬱病は周りからの判断が難しい。審査体制としては、情状調査をおこなう。収入の有無などは必ず調べますし、病気などの問題で就労できないのであれば、かかりつけのお医者さんに確認もします。また、通帳の提出は求めますし、わたくしどもの生活保護法上の調査権限により、本人の同意の上で銀行などからデータを見せてもらうこともあります。実家に対する扶養調査もおこなっている。実家がもしもお金持ちであれば、援助をできないかとお話しさせていただくこともあります。」

弊社は白書複製男を何年でも追跡、追及する。

―川崎市にも責任がある。毅然たる対応を取っていただきたい。
「生活保護費というのは回り回って国税からも出ているから、川崎市民以外の方にとっても他人事ではないです。お怒りになられて結構だと思いますよ。私だって税金払っている立場でもありますから。こういう不正受給は絶対許してはいけないと思っています。しかし、今回のような不正受給ケースはまったく想定していませんでした。もしも事実であれば、うちにとっても大きな問題になってしまいます。去年も麻生区役所管内で(生活保護からみで)新聞沙汰を起こしており、今年もとなるとさすがにまずいんです。調査の上、適正に対処しますので、どうかご協力をお願いします。」

対応の責任者は袴田の刑事告発を視野に入れた徹底調査を記者に約束してくれた。本来であれば、生活保護費は年を取って働きたくても働けないとか、母子家庭で子供の学費が不足するような、本当に必要な所へ行き渡るべきものである。密かに法を犯してネットオークションで稼ぎながら、生活保護を不正受給してお咎めなしでは国民は納得できない。袴田が法的な処分を受けるまで、監視と糾弾を続けなければなるまい。

開き直るヤフオク転売男から賠償金を取る方法

さて、「裁判を実行され、判決が出たとしても支払いは無理かと思われます」と嘯く袴田。著作権とは出版社の最大の財産である。それを侵害し、利益をむさぼり、そして逃げ切る…このような不正義がまかり通っていいはずがない。果たして本当に逃げ得となるのか。民事執行に強い弁護士に聞いてみた。

「現在の袴田は生活保護を受給しています。しかし、袴田はまだ30代で若いですし、これまでも勤労していた実績があるのですから、終世働かないで生活保護を受給するということは考えられないと思います。例えアルバイトでも、雇用された時点で給与を差し押さえることができるので、袴田が社会復帰するのを静観するのも手です。」

袴田は「どうせお金は取れないのだから裁判なんかやっても無駄だ」と言いたいのだろう。しかし弊社はそのような弱者を装った、弱者であることを悪用するようなやり方で社会人としての義務を逃れるということは許されないと考えている。繰り返しになるが、袴田が侵した著作権は、出版社の命なのである。

提訴! 一生涯逃れられない賠償義務

果たして袴田のような輩は逃げ得を享受できるのか?

「民事訴訟の確定判決の効力は民法 第174条の2第1項『判決で確定した権利の消滅時効』で10年と定められています。しかし、10年毎に訴訟を起こして行けば永遠に賠償金の支払いから逃れることはできません。一生涯会社に勤めたり、不動産や車等の財産を持つことが出来ない生活を送る方が大変ですよ」(同弁護士)

また、袴田は自己破産の経験者である。それに味をしめて破産をして賠償金を逃れることを考えているのかもしれない。しかしそれについて弁護士は一笑に付す。

「破産法253条で破産、免責から7年を経過すれば再び破産して免責を受けることも可能ですが、一般の債務とは異なり、不法行為の損害賠償金に対して裁判所は免責を認めません」


実家の土地・建物の登記簿謄本。敷地はおよそ50坪。時価は「坪55万円として2800万円かな」(地元不動産屋)

尚、袴田には年老いた両親が隣接市に一戸建てを構えている。登記簿を調べてみると平成17年8月、両親が袴田と実の妹2人にそれぞれ33%34%33%の比率で家屋を贈与しているが、そののち袴田の自己破産の直前、袴田が贈与された33%は妹のA子に贈与されていた。差し押さえ逃れの財産隠しといったところだろう。

不正に生活保護を受給しながら犯罪収益を貪り、鬱病を盾に損害賠償の支払いを拒む袴田。弊社は平成21年12月、逸失利益52万8000円に著作者人格権を侵害したことによる精神的損害金100万円と弁護士費用を加算して168万800円の支払いと仮執行宣言つきの判決を求める訴訟を東京地方裁判所に提起した。この男を5年、10年、15年、徹底的にマークせねばなるまい。


訴状と提訴した東京地裁。完勝を目指す

弊社はまず裁判の場で袴田の行った違法行為によって被った損害額を認定してもらい、その判決を根拠に腰を据えて支払いを求めていきたい。袴田には自分の人生の中で自分の行為について責任を取るということを学んでほしい。(経済新報)