●川上
「東日本大震災に伴う福島第一原発の事故を受け、佐賀県の玄海原子力発電所周辺の自治体でも原発の安全性を不安視する声が広がっています」
●川上
「玄海町と唐津市、そして福岡県糸島市で住民や自治体が、原発をどう考えどんな対策を取ろうとしているのか、取材しました」
●梶井記者
「佐賀県玄海町です。住民が生活する場所からさほど離れていないところに原子力発電所があります。『原発の安全神話は崩れた』と話す町民がいる一方で、『それでも原発は必要』という声もあります」
●町民
「安全神話が崩れた」(男性)
「怖くてテレビを見られない。体が震えてくる。産業が何もないので原発を誘致した」
「やっぱり、原発はないといけないのでしょう」
九州電力は先週の木曜、定期検査中の玄海原発の2号機と3号機について、発電の再開延期を決めました。
理由としては、福島第一原発の事故が収束していないことや、国が原発の安全対策の見直しを検討していることなどを挙げていますが、原発に対する不安は玄海町だけでなく、周辺の自治体の住民にも広がっています。
●梶井記者
「原発がある玄海町の隣、唐津市です。福島での原発事故はここで野菜をつくる方々にとっても他人事ではありません」
●野菜生産者
「(福島の生産者が)丹精込めて種まきからやったものが、出荷停止などになって、言葉では言い表せない」
福島第一原発の周辺で生産された野菜の一部が出荷停止になったことで、原発事故が農業にも影響を与える事態が現実のものとなりました。
●唐津市の農家
「今度の福島の事故で、ここも安全ではないと思った」
●市民団体の申し入れ
「いま全国の原発所在地の住民は大きな不安にかられています」
福岡市の市民団体はきょう、九州電力を訪れ、運転開始から30年が経過した玄海原発の1号機と2号機の廃炉や、3号機のプルサーマル発電の中止などを求める要望書を提出しました。
一方、周辺の自治体でも、議会を中心に動きが出ています。
玄海原発から30キロ圏内にある福岡県糸島市の市議会は、先週の金曜、福島第一原発の事故原因の究明や対策をはじめ、原発の耐震安全性の基準や情報提供のあり方について、国が検証するよう求めていくことを決議しました。
●玄海町議会(今月14日)
「急きょ、原子力対策特別委員会を開きます」
また、玄海町議会は震災直後に原子力対策特別委員会を開き、議員からは九電や町に対して、「原発の事業者は国の基準を上回る安全基準を確立してほしい」「避難場所を含めた安全マニュアルを作ってほしい」といった意見が出されました。
もっとも、これまでにいずれの自治体からも原発そのものを否定する声は上がっていません。
日本の電力供給の3割、九州では4割を担う原子力発電を、仮になくすとすれば、その影響が計り知れないためです。
●九州電力・真部利応社長
「(2・3号機の停止が夏場まで続けば)従来の傾向から見て、おそらく不足する」
Q.九州でも計画停電の可能性
「そこまでいくかは、まだ断定できない」
Q.可能性はある
「否定できないということ」
東日本大震災をきっかけに、日本の原発は安全基準の見直しを避けては通れない状況です。
また、一方で、国のエネルギー政策そのものをもう一度、見つめ直そうという機運も高まっています。