任期満了に伴う広島市長選(4月10日投開票)は27日告示され、新人6人が届け出た。現職の秋葉忠利市長(68)が3期での引退を表明し、117万都市のリーダーが12年ぶりに替わる。財政健全化や経済振興策、都市の中枢性向上などの課題に加え、ヒロシマ五輪招致の是非など、秋葉市政へのスタンスも問われる。県内の統一地方選のトップを切って、14日間の熱戦がスタートした。【寺岡俊】
立候補したのは、元市議、大原邦夫氏(61)▽共産党県常任委員、大西理氏(45)▽前副市長、豊田麻子氏(45)▽前市議、桑田恭子氏(49)▽前中央労働委員会事務局長、松井一実氏(58)▽建設コンサルタント会社員、前島修氏(37)の計6人で、大西氏以外は無所属。1991年の7人に次ぎ、47年と87年と並んで過去2番目に多い候補者数となった。出馬を表明していた建築コンサルタント、田中正之氏(51)は届け出なかった。
主要政党の動向では、国政与党として初の市長選に臨む民主党県連は、社民党県連と共に豊田氏を支援。自民、公明両党は松井氏を推薦した。共産党は大西氏を公認候補として擁立した。みんなの党と国民新党は、自主投票を決めている。
26日現在の有権者数は93万6536人(男性44万8298人、女性48万8238人)。
○…東日本大震災の発生を受け、候補者の陣営の多くは27日朝開いた出陣式などの冒頭、集まった支持者らとともに、犠牲者に黙とうをささげた。また、防災対策の充実を訴える候補者もあった。
中区であった無所属新人候補の出発式では、候補が左肩に喪章を付けて第一声。「広島はみなさまの復興のためにがんばります!」と被災地に向けたメッセージを付けた風船を飛ばした。
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◆昔の活気を、平和の発信、災害に強く--有権者の声
広島を変えてくれる人に投票したい。昔に比べて経済面など活気が無くなって寂しい。五輪をやる財力はない。広島は小さい街だが、もっとできることがある。
就職活動中だが、40歳以上は年齢的に厳しく、企業が提示する労働条件も悪くなってきていると感じる。雇用拡大や経済活性化、五輪への対応などを見て投票先を決めたい。
小学5年と1年の子ども2人がいるが、遊び場の公園が少ないので、増やしてほしい。秋葉忠利市長が良かったが、今回の選挙戦でそれ以上の人がいるか見定めたい。
公共事業の拡充と、過剰な低入札を適正化してほしい。この12年間、他都市よりもかなり低い入札でないと落札できず、低くすると会社が苦しいという悪循環に陥っていた。
秋葉忠利市長の平和行政を継続してほしい。景気をよくして税収を増やし、経済を立て直すことが必要。市役所など公的施設の耐震補強にも取り組んでほしい。
広島市は原爆などで暗いイメージを持たれやすい。それだけじゃない平和都市としての広島市を全国にアピールできる存在感ある人に市長になってもらいたい。
市長の給料と退職金が高い。河村たかし名古屋市長のように削減を目指すべきで、五輪の誘致はやめて学校の耐震化などに使うべきだ。災害に強い広島市にしてほしい。
ヒロシマ五輪は核兵器廃絶を達成してできるのであれば、最高のイベントになる。そうでなくても核廃絶の考え方が広まるきっかけになる。20年に招致してほしい。
まずは経済の立て直しに取り組んでほしい。税金がどう使われているのかも不透明なので、市民から見える市政を。元気で活気がある広島を目指してほしい。
核兵器廃絶に向けた秋葉忠利市長の取り組みは継承してほしいが、次の市長は市民の声に耳を傾ける人になってほしい。日本を支えてきた高齢者を守る福祉政策を。
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大原邦夫候補 中区三川町10の13STビル三川町(082・246・1182)
大西理候補 中区八丁堀8の11(082・228・3366)
豊田麻子候補 中区紙屋町2の2の8(082・243・8060)
桑田恭子候補 佐伯区河内南2の30の2(082・929・2930)
松井一実候補 南区稲荷町1の1ロイヤルタワー1階(082・567・0013)
前島修候補 南区宇品西1の7の12の502(080・3881・6383)
毎日新聞 2011年3月28日 地方版