最終更新: 2011/03/29 10:56

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福島第1原発事故 放射線管理区域外の地下トンネルに非常に高い放射線量の水

福島第1原子力発電所の放射線管理区域の外に、1時間あたり1,000ミリシーベルトを超える非常に高い放射線量の水が大量にたまっていることがわかった。
原子力安全委員会の班目委員長は28日夜、福島第1原発2号機のタービン建屋から海側に伸びる地下トンネルに、非常に高い放射線量の水がたまっていることへ、大変な驚きと憂慮を表明した。
この水は、あと10cmで地表に届く高さまで来ており、地面や海への流出も懸念されている。
28日午後8時すぎの会見で、原子力安全委員会の班目委員長は、「まさにこの事故は、現在進行中です。そういう意味では、いつ終息するかなどの予測などは、もうできないというのがわれわれの見解でございます」と語った。
福島第1原子力発電所は、28日朝も白煙を上げた。
また、タービン建屋の外でも、高い放射線量の水が確認された。
28日午後5時半すぎの会見で、東京電力は「3月27日午後3時30分ごろ、1から3号機、タービン建屋外のトレンチのたて坑に水がたまっていることを確認しました。水表面の線量は、2号機が1,000ミリシーベルト以上でした。トレンチは管理区域かというご質問ですが、管理区域ではございません」と語った。
水がたまっていたのは、2号機のタービン建屋から海側に向かう「トレンチ」と呼ばれるトンネルで、配管やケーブルを通すためのもので、通常は水がたまることはないという。
東京電力によると、2号機につながっている縦穴は、深さがおよそ16メートルあるが、水は15メートルのところまでたまっているという。
その水からは、1時間あたり1,000ミリシーベルト、原子炉の水のおよそ10万倍という高い放射線量が検出された。
東京電力の武藤 栄副社長は、「通常の事象ではないというふうに思っております。特に2号機につきましては、水の表面線量も非常に高いということでありますので」と語った。
トレンチのたまり水は、1号機と3号機でも確認されていて、放射線量は1号機が1時間あたり0.4ミリシーベルト、また3号機については、周辺にがれきがあったため、測定できなかったという。
会見で、原子力安全委員会は「(放射線管理区域外で高い放射線量が検出されたが?)正直、大変な驚きであり、大変、憂慮してございます」と語った。
28日午後6時半ごろの会見で、原子力安全・保安院は「タービン建屋のものと同じような線量でありますから、その関連というのは当然、予測されるわけですけれども、そこのところがまだはっきりわかっていない状態です」と述べた。
建屋外に漏れ出した可能性がある水だが、2号機のタービン建屋内にたまった水からも1,000ミリシーベルトを超える高濃度の放射性物質が検出されている。
枝野官房長官は「一時、溶融した燃料と接触した格納容器内の水が、何らかの経路で直接、流出したものと推定される」と述べた。
想定外に難航する水との戦い。
会見で、原子力安全・保安院は「燃料のところ、あるいは使用済み燃料プールを冷やすためにたくさんの水を入れて、安定的な冷却に持っていきたいということがある一方で、あふれないようにするためには、その水の量をなるべく抑えた方がいいということがあって、その微妙なですね、やり方をとらなきゃいけない」と話した。
一方、復旧作業中に被ばくしていた作業員3人が28日、退院した。
会見で、放射線医学総合研究所は「被ばく線量は、2〜3シーベルトであるということが推定されまして」と述べた。
3人のうち2人の作業員は、足のくるぶしから下の部分を被ばくしたが、皮膚などに変化はなく、内部被ばくも健康に影響がない程度という。
また27日、陸上自衛隊が原発上空の映像を公開した。
もうもうと白い煙を上げる2号機、上部が激しく損傷して壁が崩落している3号機、さらに4号機は倒れたクレーンがむき出しになっていた。
さらに黄色い構造物が確認され、これは原子炉格納容器のふたとみられる。
こうした中、5号機、6号機の北側放水口から27日に採取した海水から、濃度限度の1,150倍の放射性ヨウ素が検出された。
これまで、基準の1,850倍という高い値が検出されていた1号機から4号機がある南側放水口では、濃度が250倍まで下がった。
会見で、原子力安全・保安院は「かなり海岸に近いところなので、沖合の方の潮流とはまた別の流れがあって、高い値が出ていた南側の場所から、北の方に動いていっているのかなというふうに推測されますけれども」と語った。
最悪の事態となる海への汚染水の流出。
高い放射性物質が検出された2号機のトレンチと海との距離は、55メートルだという。
会見で、東京電力は「(1号機は)入り口に土のう、コンクリートパネルを設置しまして、流出防止措置を取っているという状況です。2号、3号に関しては、まだ未実施ということでございます」と話した。
水の拡大により、冷却機能の回復の見通しは、不透明となっている。

(03/29 00:04)


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