また、専門家は、釜石の防波堤も完全な失敗ではなかったと主張する。防波堤はこの地域を襲った過去3回の津波災害と同じ規模となる今回より小さな波を想定して設計されたが、一定の海の威力は考慮しており、損害を抑え、住民に逃げる時間を多少余計に与えられたと、早稲田大学社会環境工学科の柴山知也教授は言う。
柴山教授によれば、日本は防波堤と護岸を建て直す一方で、そうした物理的な防御の限界を認識して、住宅地をもっと高い場所や海からもっと離れた場所に移すべきだという。
当局者とエンジニアたちも当然、自分たちの防災計画のベースとなったリスク評価とシナリオを厳密に再考し、ほとんど過去の地震の証拠だけに頼ることがないようにしなければならない。
■現実対応困難にする想定シナリオ
釜石市の避難訓練の設計を手伝った群馬大学の片田敏孝教授は、前例に基づくシナリオに頼ると、人々が未曽有の威力の津波に備え、対応することが逆に難しくなると指摘する。日本に住む人はそうした「固定観念」を捨て、あらゆる事態に備えておくよう注意しなければならないと片田教授は言う。
「例えば、富士山が爆発して、東京が火山灰に埋まるかもしれない。起こり得る自然災害は何通りもある。我々はこうした可能性をすべて考慮し、それが起きた場合に社会がどう対応するのがベストか考える必要がある」
3月11日の津波が残したがれきが撤去されるにつれ、波の怒りを免れた人々が覚悟して次の不測の災害に備えるのが難しくなっていく。しかし、努力する価値はある。セネカとサムライは間違いなく同意するはずだ。
By Mure Dickie
(翻訳協力 JBpress)
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