(2011年3月24日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
釜石の丘の上からは、この町の有名な防波堤を一望することができる。3年前に完成したばかりのこの堤防は、最深63メートルという世界一の水深を誇り、1200億円という巨費を投じて作られたものだ。それが今では壊れてしまっている。
■よみがえる古代ローマ哲学者の教え
眺めの良いこの場所からは、防波堤が壊れた結果も容易に見渡すことができる。3月11日の大地震が引き起こした壊滅的な津波により、町の大半が流されてしまったのだ。
こうした光景を見ていると、釜石(そして、海岸線を南に下ったところにある、地震で損傷した原子力発電所の危機)の教訓は、科学技術で自然を飼いならそうとする人間の努力が無駄であり、逆効果でもあるということだと結論づけたくなるかもしれない。
本紙(フィナンシャル・タイムズ)の読者投稿欄に今週、日本人のストイックさについて書かれていたように、古代ローマ時代のストア派哲学者であるセネカは2000年近く前に、死は自然なことであり、死を恐れることこそが最大の問題だと言明していた。そして、地震から逃れようとして町を移転させることは無意味だと記していた。
自らの運命をコントロールすることの限界をこのように受け入れる姿勢を、日本人はすぐに理解できる。実際、日本文化には運命論があちこちに見受けられる。
■不可避の死について思うサムライ
被災地では、生き残った人々の多くが、自分たちが喪失に対して全般的に冷静かつ現実的な反応を見せているのは、災害は起こるものだと昔から受け入れてきたからだとか、悲しみや痛みを表に出さないことをたたえる日本のサムライの倫理がまだ残っているからだと話している。
確かに、セネカの思想と、禅の影響を受けた教養ある武士たちが信奉した考え方との間には、興味深い共通点がある。例えばセネカは、朝目覚めたら、その日1日に起こり得る悪い出来事をすべて想像するよう説いていた。
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