東京電力は28日、福島第1原子力発電所の敷地内の土壌5カ所でプルトニウムを検出したと発表した。このうち2カ所は原子炉から外部に漏れた可能性が高いという。検出されたのはごく微量としている。同社はこれとは別に2号機のタービン建屋の外で、高い放射線量を計測したと発表した。汚染水が屋外で見つかったのは初めて。同機の原子炉内の燃料棒に深刻な損傷が生じた結果とみられる。
検出されたのはプルトニウム238、239、240の3種類の同位体。3月21、22日に敷地内の5カ所で土壌数百グラムを採取し、外部機関に分析を依頼した。5カ所すべてでプルトニウム239と240を土壌1キログラムあたり最大で約1.2ベクレル検出。このうち1~2号機から西北西500メートルにあるグラウンド付近と固体廃棄物貯蔵庫前の2カ所で238を最大0.54ベクレル程度検出した。
プルトニウム238の比率は、過去の大気圏中の核実験で検出された同位体とは異なっていた。濃度は国内土壌の観測実績と比べ3倍超の値という。記者会見した東電の武藤栄副社長は「人体への影響はない値だ」と述べた。現場作業員には既に検出の事実を伝え、電源復旧など作業への影響はないとしている。
一方、経済産業省原子力安全・保安院は29日未明に記者会見し「一定の燃料に損傷があることを示している」と指摘。「(核物質を閉じ込める圧力容器や格納容器など)5重の壁を守れなかった。非常に憂うべき事態だ」との認識を示した。
3号機原子炉内の燃料の一部にはウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を使っており、これが溶け出すなどしてプルトニウムが出た可能性がある。プルトニウムは使用済み核燃料にも含まれるため、過熱したプールから水蒸気などとともに放出されるケースも考えられる。
また、東電は2号機のタービン建屋の外の坑道(トレンチ)で毎時1000ミリシーベルト以上の高い放射線量を計測したと発表した。27日午後3時半~4時に1~3号機のタービン建屋の外のトレンチ内に水を確認。1、2号機は放射性物質で汚染されていた。東電の武藤栄副社長は「報告を受けたのは28日午後だった」と明らかにした。
原子力安全委員会の班目春樹委員長は28日夜、汚染水が屋外に出たのは「大変な驚きで大変憂慮している」と述べた。安全委は2号機で8~9時間にわたり冷却水が減り燃料棒全体が露出した時期があったと推定。班目委員長は「一部溶融してもおかしくない」と指摘した。圧力容器の、制御棒の出し入れなどに使う穴から溶けた燃料が格納容器に落ちた可能性も否定できないとしている。
燃料棒の損傷が進まないよう冷却用の水を大量に注入すると、汚染水の漏出が増える恐れがある。作業は「2つの矛盾する行動をとらないといけない」(東電)難しさに直面している。
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