福島第一原子力発電所で、敷地内で採取した土壌を分析した結果、今回の事故に伴って放出されたとみられる微量のプルトニウムが検出されました。東京電力によりますと、検出されたプルトニウムの濃度は国内の通常の土壌に含まれる濃度とほぼ同じレベルで、人体に影響のあるレベルではないということです。
東京電力によりますと、21日から翌日にかけて、福島第一原子力発電所の敷地内の5か所で土壌を採取し、外部の専門機関で分析を行いました。その結果、1号機から西北西におよそ500メートルにあるグラウンド付近と、同じ1号機から北に500メートルにある固体廃棄物貯蔵庫の付近の2か所で、今回の事故に伴って放出されたとみられる微量のプルトニウムが検出されたということです。東京電力によりますと、検出されたのは、プルトニウムの仲間でプルトニウム238と239、それに240の3種類でグラウンド付近の場合、このうちのプルトニウム238が1キログラム当たり、およそ0.54ベクレル検出されました。この濃度は、国内の通常の土壌に含まれる濃度や、過去に大気圏内で行われた核実験で国内に降ったプルトニウムの濃度ともほぼ同じレベルで、人体に影響のあるレベルではないということです。プルトニウムは、福島第一原発の場合、3号機で「MOX燃料」と呼ばれるプルトニウムを含む燃料を使用しているほか、通常のウラン燃料を使ったほかの原子炉でも生成されています。プルトニウムは、肺などの臓器に取り込まれると長い間とどまって放射線を出し、がんなどを引き起こす可能性がありますが、プルトニウムが出すアルファ線と呼ばれる放射線は紙1枚で遮蔽が可能です。東京電力は、今後も引き続き週2回、福島第一原発の敷地内の3か所で土壌のプルトニウムの調査を続けるということです。経済産業省の原子力安全・保安院は「検出されたプルトニウムは通常、環境中に存在するものと同じレベルで、今回の調査で土壌を採取した際、近くにいた作業員や周辺の住民の健康に影響を与えるものではない。プルトニウムについては、東京電力が原発の敷地内で継続的に行う調査に加え、文部科学省が原発から半径20キロの範囲外で行っている調査を通して、注視していきたい」と話しています。