政治【産経抄】3月11日2011.3.11 03:05

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【産経抄】
3月11日

2011.3.11 03:05

 失礼ながら、民主党の土肥隆一衆院議員(72)をこれまで、存じ上げなかった。新聞の切り抜き帳をめくると、昭和46年に報知新聞が大きく取り上げている。当時32歳の土肥氏は、神戸市内にある教会の牧師だった。

 ▼信者でない人にも、キリスト教の雰囲気になじんでもらおうと、教会内に喫茶店を開いて話題を呼んでいた。土肥氏はこう語る。「アウトサイダーだから、日本人のとれない行動もとれるんですよ」。

 ▼まさか、菅直人首相の側近議員となった今も、「アウトサイダー」気分でいるのだろうか。先月末にソウルで開かれた集会で、韓国側との共同宣言に署名していたことが発覚した。日本政府に対して、竹島の領有権を放棄するよう訴える内容だ。

 ▼これまで韓国の不法占拠を許してきたのは、「日本固有の領土」といいながら腰の引けた政府の対応と、国民の無関心だった。それでも先月、松江市で開かれた「竹島の日」のフォーラムには、初めて民主党の国会議員が姿を見せた。今春には竹島を明記した学習指導要領解説書に基づく、中学教科書の検定結果が発表される。

 ▼日本の領土を守る機運を盛り上げるべきときに、それを真っ向から否定する行為だ。「いっそのこと島を譲ってしまったら」と書いた朝日新聞のコラムとは、重みが違う。「そんなに大きな問題を引き起こすとは思わなかった」。能天気な釈明をする土肥氏に、厳しい処分を下す考えは、首相にはないようだ。

 ▼民主党政権は、普天間飛行場や尖閣諸島、北方領土の問題とあわせて、これで外交の重要案件すべてにみそをつけたことになる。ひょっとして、首相に“引導”を渡すのは、牧師の土肥氏の役目になるかもしれない。

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