2010年8月14日午後9時からTBS毎日放送で放映されたドラマ『帰国』を見た。
このドラマに出演した小栗旬さんに今回当社のチェロをお貸しするというご縁があったので、私にとっては若いときの東京ラブストーリー以来、久しぶりにテレビドラマを見たのだった。自分でも意外なぐらい涙が出て止まらなかった。靖国神社の資料館を訪れたときに流したと同じぐらいたくさんの涙が止まることなくあふれ出た。よって、エンドロールに流れる『ありがとう商事』が涙で見えなかった。普段、涙などしないのに。。。
そして、こんな日本に誰がした! 恥を知れ! と私もビートたけしと一緒に叫びたくなった。
最近、毎日のように消費者主権なんだと主張する方々(=消費者の権利濫用としか言いようがないケース)ばかりでうんざりする。金を払わずして、モノがまだ届かないと主張する人や、明記の条件にも拘わらず、客をバカにするな・オマエのところは殿様商売だとか・バカヤローと女子従業員に怒鳴って、ベンツ乗りをなめるなよとすごむ人、何でもかんでも全てが気に入らないとゴネる人、平気でウソをつく人、自分のミスで始まった混乱をすべては販売業者だけが悪いと主張する人。。。
私がアメリカで操縦教官の証明を取得する前年、自分の飛行機を買った1993年には新しい小型機は製造されていなかった。中古の飛行機しか買えない時期だったのだ。セスナ社もパイパー社も米消費者が悪徳弁護士と組んで、墜落事故が起きるたびにPL法を楯に矢継ぎ早に訴訟を起こして次々と莫大な損害賠償を請求されたために、製造自体を止めてしまった時期であった。マクドナルドに自分でこぼしたコーヒーで3百万ドルをせしめたりすることがあった時期である。今の日本もそんな時期の米国になりつつあるのかと思わせる。
その1・2年前、第一勧銀(現みずほ銀行)に勤めていたときに、イギリスの古参マーチャントバンクであるヒルサミュエルとの合弁投資顧問会社に関わった。英国人はしきりに顧客を教育してマナーの良い客に仕上げることこそが我々の重要な仕事のひとつであると主張した。客に振り回されては、落ち着いて全世界への投資などはできないからだと。国際投資の数百年の伝統と経験のある国であるイギリスとのアプローチの違いを大いに感じた。Buyers are kingsとは言わないのである。お客様は神様でもない。対等のパートナーであるはずである。
当社は自称『客』のゴネ得は許さない。ゴネさせない。ゴネても何も出てこない。取引条件はすべて明記の通りだ。教育できる客は教育して差し上げるが、お行儀良く取引していただけなければ個人にも企業にももう売らない・サービスも提供しない。業者を蔑むようなわがまま素人は一切お断り!明記の条件を読まずして問い合わせしてくるような方もお断り! ルールと礼儀を身に付けた玄人を大歓迎! 私が17年前に敷いた確固たるこの路線を堅持することに決めた。 ドラマを見て目が覚めた思いで一杯だ。 日本の昔ながらの価値観を大事にして、清く正しく美しくお取引していただける顧客のみとお取引する。
社長@ドラマ『帰国』を見て、本来の当社の商売哲学に戻ることを決意する

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