第二十一話であります。
文章を何度も練り直していたのと、少しリアルの方でトラブルがありまして、更新が遅れてしまいました。申し訳ありません。
また、明後日より大学の方も始まってしまうので、度々更新が遅れてしまうことが多くなるやもしれません。ご了承のほどをお願い致します。
重ねて、謝罪いたします。
それでは、第二十一話スタートです!
第二十一話 真実と憑依と初対面 ~ 親友
「・・・あ、れ・・・?」
うっすらとした白。なのはは見知らぬ天井、ではないがあまり馴染みのないアングルから部屋を見上げていた。ぼんやりと、自分が今寝かされていることを頭のどこかで悟る。
「おい、気づいたぜ!」
脇から声が聞こえたので視線を向けると、赤い髪を三つ編みで縛ったスターズ隊副隊長の顔が見えた。声を聞きとめたのか、そのまわりにフェイトを筆頭にして人が集まってくる。
「なのはっ、よかった目が覚めたんだね!」
「まったく、心配をかけさせおって・・・」
「よ、よかったです~・・・」
「フェイトちゃんにシグナムさん、リィンまで・・・」
涙目で覗き込む親友や優しいユニゾンデバイス、安堵の溜息を吐く烈火の将が目に映る。その横で計器に目を落としていたシャマルの顔が綻んだ。
「心肺、脳波正常・・・うん、リンカーコアも安定してるわね。怪我以外は何も異常はないわ。蔵馬さんが薬草とかいろいろ出してくれたお陰よ」
「いえ、俺が手伝えるのはこれぐらいですから」
病室の隅にある椅子に座りながら苦笑する蔵馬。その横には安堵の顔をした桑原の姿もある。エリオがほっとした表情で、ベッドの横に立った。
「よかったです・・・結構怪我してたから・・・」
「大丈夫だよ。大袈裟だなぁみんな・・・」
なのはは自然に笑う。そのとき、慌ただしい足音が響くと部屋の入り口が音を立てて開いた。
「シャマル先生!なのはさんが目覚めたって本当ですかっ!?」
「ちょ、バカスバル!いきなり失礼で・・・あっ・・・」
「あ・・・」
走りこんできたスバルとティアナがなのはを見て固まる。勢いで飛び込んできたはいいが、そのあとのことを考えていなかったらしい。だが、自分を心配してくれているだろうことは、二人の表情からすぐに分かった。
なのはは若干目を見開いたあと、ぎこちなさを残した微笑みで彼女らを迎える。
「あはは・・・無事だったんだね、二人とも」
「そ、その・・・」
スバルとティアナは申し訳なさそうに俯く。そして少しの逡巡のあと顔を見合わせ、
「「すみませんでしたっ!」」
二人同時に頭を下げた。ヴィータ達や、謝られた当のなのはも面食らったようにきょとんとしている。
「シャーリーさんから聞きました・・・なのはさんの過去」
「ごめんなさい・・・なのはさんの気持ちも知らないで、私・・・」
スバルとティアナが涙を流しながらぽつぽつと語る。しばらく重い雰囲気が漂ったが、なのはは俯いたままの教え子に穏やかな声をかけた。
「ううん、謝るのは私の方。自分のことを見ないようにして、ティアナ達のことを考えもせずに押し付けちゃった。私も前に言葉で伝えることの大切さを知ったつもりだったのに、いつのまにか忘れて・・・ううん、考えないようにしてたんだ。いつか分かってくれるだろう、って勝手に思い込んで・・・・昔はちゃんと分かってたのに、ダメだね。飛影くんにも言われたよ、『自分の言ったことぐらい責任を持て』って」
なのはは胸に手を当てながら微笑んだ。そこには負の感情は一切見受けられない。大切なものを取り戻した、本来の彼女がそこにいた。スバルとティアナはもう一度なのはに向かって頭を下げ、瞳を濡らしながら笑いあう。
「飛影がそんなことを・・・忌呪帯法を解いたときはどうしようかと思ったけれど、俺達と過ごした時間やここでの日々で、やはり彼は変わったみたいだな」
彼女の雰囲気を察し、蔵馬がここにいない仲間を思いながら安堵した。なのはの横で涙を流していたスバルが、はっとしたように顔を向ける。
「そういえば、さっきもそんなこと言ってましたよね。ええっと、なんでしたっけ?飛影さんの右腕に巻かれてる・・・」
「二世帯住宅だろ?」
「そう、それです!」
「アホですね・・・」
桑原とスバルのあり得ない聞き間違いに、流石のリィンも呆れ顔でツッコミを入れる。蔵馬は苦笑いを零して口を開いた。
「忌呪帯法だよ。名称には聞き覚えがないかもしれないが、こちらで言うリミッターと同じことさ。特殊な包帯と呪符で封印の呪縛を施して、自分の力を抑え込んでいるんだ。出してしまったら自分でも止められないほどの、凄まじい力をね」
力を抑えていたという蔵馬の発言に全員が驚く。その中で、シグナムが蔵馬に確認の視線を送った。
「それがあの黒い炎、ということか・・・まだ目に焼きついて離れん・・・私の扱う炎よりずっと強化された・・・いや、もはやそんな次元ではないな・・・上手く言えないが、あの炎は普通ではない・・・我々が知る『炎』などとは存在からして違うような、異質な何かを感じた・・・」
自らも卓越した炎の使い手だと自負するシグナムが、あの時の光景を噛み締めるように言った。その表情には、いつもの厳格さもバトルマニアとしての好奇心もない。
彼女自身も心に浮かんだ事が信じられなく、そして信じたくなかった。烈火の将とまで称えられた自分が、『炎』に対してに恐怖心を抱いているなどということには。
「お願いや蔵馬さん。知っとるのなら答えて・・・『アレ』は、一体なんだったんや・・?」
はやても蔵馬に詰め寄った。その表情は、飛影が来た時にさえ見せなかった真剣さを含んでいる。そして、これが彼女にとってのギリギリの妥協線だろうことは、誰もが理解していた。
部隊長は課におけるまとめ役である。そして、そこで起きたことに関して全責任を負う立場にある。本来なら、彼女は先ほどのことを有無を言わさず問い詰め、早急に視野に入れなくてはならないはずだ。
おそらく、地上や海の管理局のほうからも、飛影が呼び出したあの黒い光に関する問い合わせが殺到しているだろう。もちろんあれは魔法でも質量兵器でもないし、自分達も与り知らぬモノなので、知らぬ存ぜぬで通すことはできる。
だが、それにしたって何も分からないままというわけにはいかない。自分達にとって一番の使命はミッドチルダの安全管理だ。あれが六課やミッドにとって危険と見受けられる以上、いくら仲間の力でも知っておく必要があった。その結果、飛影や蔵馬たちとの関係を壊すことになってもだ。
蔵馬は様々な感情を宿らせる彼女達の瞳を見返した。その中には恐怖心が渦巻いているが、それ以上に強く輝く光が見える。全員の目に浮かぶそれは信頼の色だ。彼女たちも自分達と同じ気持ちなのだということに行き着き、蔵馬はふっと笑った。
そして、一つ息を吐いてから静かに頷く。元より隠しておけるはずも、そのつもりもない。それに、この場の全員があの力を肌で感じ取っているのだ。どちらにしても説明は必要である。
それになにより、蔵馬は大切な戦友が危険人物にされることだけは許せなかった。極大な力を持っているというだけで、彼をまた一人にしてしまうなど出来るはずがない。
蔵馬は桑原と一度目をあわせると、もう一度彼女らを見返す。そして再度息を吐くと、ぽつぽつと言葉を紡ぎはじめた。
「あれは黒龍・・・本来は瘴気の中でしか存在できない、邪王炎とも呼ばれる魔界の獄炎だ。そして、邪王炎殺拳において本当の『炎』とされるものでもある・・・それが、飛影の持つ『力』の正体・・・相当な手加減をしてたようだから、なのはちゃんを殺すつもりはなかったみたいだけどね」
「はえぇっ!?」
「あ、あれで力をセーブしてたんですか!?」
「ア、アホも大概にしろ!黒龍だかコックリさんだか知らねぇけど、あんなもん出しといて殺す気がなかったっていうのかよ!?」
蔵馬の言葉にリィンやシャーリー、ヴィータが椅子を蹴立てるように立ち上がった。特にリィンとシャーリー、それに後ろのはやては管制室でその力の大きさを数値で知っているから、受けた衝撃も相当なものだ。シグナムやフェイトなども黙ってはいるが、驚きに顔が強張っている。
だが、蔵馬は表情を変えずに頷いた。
「ああ、それは断言できる。もし彼が本当になのはちゃんを殺す気だったのなら、技を発動したあの一瞬で勝負は決まってたよ。炎殺黒龍波の力の源は魔界という世界の化身。魔法を使えるとはいえ、それ以外は普通の人間と変わらない彼女では、それこそ跡形も残らなかったはずだ」
「まあ、ありゃ邪王炎殺拳の奥義だからな。その気になって撃ちゃあ、この訓練所どころか見渡す限りを軽く焼きせんべいにできるぐれぇの威力だ。あれじゃ全力の一割にも全然届いてねぇ」
蔵馬に続けるように桑原が補足を口にする。二人から紡がれる信じられないような言葉に、話を聞いていた全員がフリーズした。
垣間見えた飛影の秘密と、出現だけで次元干渉を起こすほどの凄まじさを持つ黒龍の超パワー。それだけでも度肝を抜かれるのは十分だというのに、飛影が見せた力は一割にすら遥かに及ばない程度のもの。もはや笑い飛ばすこともできない。
蔵馬が灰になりかけているメンバーに苦笑し、ベッドに座る彼女の方を見やる。瞳に宿った優しくも強い光に、なのはは目をそらすことができなかった。
「強大な黒龍の力を制御しつつ、相手を殺さないように手加減するなんて芸当は、本気で放つより遥かに難しい。飛影は初めから、君を殺すつもりなんてなかったのさ。ただ彼は彼なりに考えて、それなりの本気を見せなければ、君には伝わらないということに至った末の行動だったんだと思う。人を思いやる心は持っているけど、飛影はあの通り、とても不器用な男だからね」
蔵馬は苦笑しながらも、その言葉に優しさを滲ませる。おずおずといった感じでキャロが頷いた。
「わかります・・・お兄ちゃん、普段はすごく厳しくてぶっきらぼうですけれど、見えないところで私達のこと気遣ったりしてくれますから・・・」
仲間の言葉にエリオが静かに頷いた。何かにつけて文句を言う飛影だが、決して仲間を見放すことなくいつも影から見守り、いざという時には必ず助けにきてくれる。
そのことを誇る様子もなく見返りを求めることもない、ただ強く、気高く、そして遠い背中。そんな彼だからこそ信じられる、尊敬しているといった態度であった。
はやては黙ったまま仲間達の表情を見る。彼女はそのまましばらく考え込んだが、何かを得心したかのように一つ頷いた。
「・・・うん。そうやな・・・わかった!後のことは私らが絶対何とかする!蔵馬さん達は心配せんといて!」
ドンと胸を叩いてはやてが宣言する。いきなりの行動に全員、特に蔵馬と桑原が驚いたように彼女を見据えた。当の本人は少し頬を染めながら、こほんと咳払いをしてから口を開く。
「確かに飛影くんの力は脅威や。たぶん蔵馬さんとか和真くんの力もそうやろうし・・・万が一あれが向けられたら、今の私らには正直打つ手があらへん。けど、それは飛影くんを嫌悪したり、追い出す理由にはならへんやろ。飛影くんの人となりは、私も少しは分かるつもりやからな」
部隊長の顔に、本当の彼女の優しさが見え隠れしている。それは、彼女なりに掲げた覚悟の証だった。
物事を一側面だけで決めず、危険が内包されていようとその内面を信じる覚悟。巨大すぎる彼の力よりも、それに覆い隠されそうな彼自身のことを見て、信じると決める。
変わったのは、なのはだけではなかった。そして、続きを促すような面々の様子に、はやては苦笑しながらもはっきりとした口調で言う。
「何よりあそこまでして・・・自分の立場を危ういもんにしてまで、飛影くんはなのはちゃんを救おうとしてくれた。その気持ちは、私の勝手で台無しにできるもんやあらへん。それにいくらすごい力を持っとっても、振るうのは飛影くん達やろ?だったら大丈夫や。何があっても、私はずっと信じていける」
「はやてちゃん・・・うん、ありがとう・・」
「ありがてぇぜ・・・ホントによ」
蔵馬と桑原が、彼女に向かって素直な感謝を紡いだ。部隊長というその肩書きからして、彼女には大変な仕事が待っている。しかもこれからの行動如何では、今ですら折り合いの悪い地上本部との仲がさらなる険悪状態になってしまう可能性だってある。
だが、彼女はそれでも飛影や自分達を信じると言ってくれたのだ。二人は無言で頭を下げた。
「この件に関してはもう何も言わへん。みんなもいいな?」
『はい!了解しました!!』
応答する声には、その一つとして淀みはない。心が伝われば思いも伝わる。それを聞いたはやては「よし!」というふうに頷き、漸くの笑顔を見せた。
その場にいる全員に笑みが戻ってくる。と、そこでエリオがあれ、といった感じで首をかしげた。
「う~ん・・・問題が解決したのはいいんですけれど、そこまでして兄さんが言いたかったことって一体なんだったんでしょうか?」
「そういえば・・・そうだね」
解決した問題と引き換えるように、新たな疑問が提起する。確かにそれはもっともだった。なのはに教訓を与えたことで一応の説明はできるが、それだけでは理由として少し弱い気がする。
加えて、飛影はティアナも気にかけていたのだ。それに関する回答がまだ無いことも気になる。
先ほどのシリアスムードほどではないが、ふむ、と考え込む一同。あの飛影の心理だ、興味があるのは当然といえた。
しばらく顔を突き合わせ、意見を交換し合う。だがどうやら答えは出せないらしく、彼女たちはそろって唸り声を上げていた。
そんななか、見かねた蔵馬が声を掛けようとしたとき、
『そこからは俺が説明するぜ』
不意に、女の子とは程遠い口調の女声が響いた。全員がぎょっとしたように其方へと視線をやる。その発声源は部屋の中央、オレンジ髪の少女からだった。
「ティ、ティア・・・?」
「え、え?今の声なに!?」
ティアナ自身、自分の中から聞こえた声に戸惑う。だが次の瞬間、彼女の雰囲気ががらっと変わり、視線も鋭いものへと変化した。髪を掻き揚げ、強い光をその目に宿している。
フェイト達は教え子の豹変ぶりに瞬時に距離を取ろうとしたが、彼女自身が軽い口調でそれを押し留めた。
『あーあー、慌てんな。ただ、こいつの体を借りて喋ってるだけだからよ。蔵馬、ちょっと飛影の部屋に行ってコエンマが渡した『アレ』、とって来てくれ』
「そ、その喋り方は・・・まさか浦飯!?」
桑原がティアナに対し驚きの声を上げる。浦飯と呼ばれたティアナがニィっと自信に満ちたように口の端を曲げるのを見て、蔵馬が確信と驚愕、それに懐かしさをない交ぜにした表情で頷いた。
「・・・わかった、行ってくる。だが、やはりこっちに来ていたんだな、幽助」
『まぁな、っと、自己紹介しとくぜ。俺は浦飯幽助、飛影や蔵馬とは長い付き合いで、魔界に君臨する最強の大魔王様だ。今はこいつの体を介して話してる。よろしくな、お前ら』
ポケットに手を突っ込みながら、幽助はティアナの声で告げる。なのはが若干戸惑いつつも口を開いた。
「浦飯さん・・・確か、いつか飛影くんが言ってた人ですよね」
「な、なんでティアの中に?」
『いやな、俺も飛影のこと聞いてそっちに行こうとは思ったんだよ。けど俺、今は魔界の奥がどこまで続いてんのか修行の旅がてら黄泉とか軀ってやつと調査してる最中だし、結構な人数で来てっから途中で放り出すってわけにもいかねぇ。んで意識だけをこっちに飛ばしたらこの嬢ちゃんがいたから、それを通して度々状況を窺ってたってわけだ。ついでに夢のなかで修行をつけながらな。さっきはちょっと手が放せなかったから、頼んどいた助っ人に面倒見てもらったけどよ』
「―――やっぱりあの夢は貴方が・・・けど、どうして私なんですか?」
ティアナが途切れた言葉にこれ幸いと、意識を顕現させて問いを返す。一人二役をしているようだが、表情や口調が勇ましいものから女の子のものに、加えて取り巻く雰囲気も変わっているので不思議と違和感はない。表情が再び幽助のものに戻った。
『ま、それはあとでな。取り合えず話さなきゃなんねぇことがあるし・・・蔵馬、持ってきてくれたか?』
「ああ」
蔵馬の声が部屋の中にごく自然に響いた。が、気配を感じ取れなかったのか、六課の誰もがびくぅっと身を竦める。そんな彼の手に携えられえていたのは、コエンマが飛影に渡した頭陀袋だった。
幽助はその中へと無造作に手を突っ込む。そして探るようにごそごそやっていたが、しばらくおいてから直径十センチぐらいの水晶と白い付箋の束を取り出した。水晶は透明なはずだがその向こう側の景色は見えず、付箋からも何か普通ではない力を感じる。
『こいつは『波璃虚玉』と『念出ラベル』。霊界探偵七ツ道具ってやつの一つでよ、まあ早い話が記憶を立体化して追体験することができんだ』
「き、記憶を!?」
「程度は低いけど、ロストロギア級のアイテムやな・・・」
はやて達の言葉を適当に流しつつ、ティアナ(の姿をした幽助)は付箋の束から一枚を引き抜き、おでこに当てた。その色が白から赤へと変わるのを見計らい、ラベルを離し水晶へとかざす。と、赤色のラベルはまるで解け落ちるかのように水晶に吸い込まれていった。驚く一同に幽助が向き直る。
『お前らには昔の俺の闘いを見てもらうことになる。俺の勝手な推測だが、おそらく十中八九合ってる。それで飛影がそこの二人だけじゃなく、お前ら全員に何を言いたかったのか、それが理解できるはずだぜ。けど、くれぐれも心しろよ? 正直、あんま気持ちのいいもんじゃねぇからな』
その言葉と共に、波璃虚玉より光が伸びる。それは一定の枠を囲み、部屋全体を覆っていく。そして強烈な光を伴い、周りから一切の音が消え失せた。
―おまけ・没ネタ ~ 憑依するということは・・・ルート1(※注意 グダグダです)―
幽助「それにしてもティアナ、お前相当無茶したなあ。傷だらけだし、体洗うときとかすげぇ痛がってたじゃねぇか」
ティアナ「ど、どうしてそれをっ!?」
幽助「お前は俺の精神下にいたからな、感覚とかはオレにリンクしてんだ。まあ、早い話が意識を共有してたってわけ。視覚はなかったから感触とかだけだけどな。記憶もいくつか見えたから、今お前のことを聞かれれば結構答えられんぞ」
ティアナ「な、何てことしたんですか!か、感触とか、し、信じられない!それに、勝手に人の記憶を覗かないで下さい!!この鬼畜!ド変態!人でなし!最低ですっ、デリカシーなさすぎですよ!」
幽助「むっ・・・ほー、そんなこと言っちゃっていいのかなー?俺はせっかく黙っとこうと思ったのになー?んじゃ、ご希望のようだしィ、ちょっくら話すとしますかぁ。そーだな、例えば・・・こいつが七歳の時のある日の夜中、目がさめてトイレに行こうとしたんだ。けど、その日テレビでやってたお化け特集にビビッて布団から出られなくて、我慢できずにそのまま致し――「きゃあああああああっ!?やめてやめて――――ッ!!」なっはっはっは、それじゃこんなのはどうだ?九歳の夕暮れ時、公園のベンチであろうことか実の兄にお嫁さん宣げ――「いやぁああああッ!!」」
蔵馬「幽助・・・まったく君は・・・」
リィン「ま、魔王さま、結構愉快なお人ですね・・・」
シグナム「ただの子供のようにも感じるが・・・」
フェイト「あ、あはは・・・(よかった、憑かれなくて・・・)」
なのは「へぇー、そんなことがあったんだぁ」
はやて「なぁなぁ、他になんかないんかー?」
スバル「知りたい知りたいー!」
キャロ「ティアナさん、可愛いかったんですね~」
シャマル「はやてちゃん・・・スバルにキャロまで・・・」
ヴィータ「何やってんだか・・・・」
桑原「・・・お前ら、緊張感ねぇな」
エリオ「か、和真さん、お煎餅を食べながらそのセリフはちょっと・・・」
~憑依するということは・・・ルート2~
蔵馬「幽助。君はここ数日はずっとティアナちゃんの影から見てたんだろう?」
幽助「ん?ああ、そうだぜ。ティアナがトイレとかそういうときは流石に潜ってたけど、それ以外はだいたいな」
蔵馬「そうか、幽助がティアナちゃんを鍛えたんだって言ってたな」
幽助「おうよ!」
蔵馬「彼女に発破を掛けたのもそうだろう?内情を知らなければできることじゃない」
幽助「へへ、まぁな!」
蔵馬「なるほど。ということは彼女たちのプライベートも全て見ていたってことかな?お風呂なんて絶好の機会だったんじゃないか?」
幽助「もちろ・・・ソンナコトナイゼ?」
蔵馬「・・・やれやれ、覗いてたんですね、幽助。皆のシャワーシーンなどを」
六課女子全員「「「「「「「えええっ!?」」」」」」」
桑原「な、何ィッ!?」
ティアナ「な、何てことしてんですかっ!?」
ザフィーラ「なんという(恐ろしい)ことを・・・」
幽助「バーカ、事故だよ事故。ちょっと五月蝿いと思って目ェ開けたら、偶然その場面だったんだ。まったく、紳士にあるまじき失態をしちまったぜ」
蔵馬「・・・本音は?」
幽助「狙ってはなかったけど超絶ラッキーだったな。黄泉も手伝ってくれてたから、偶然見てすげぇ顔赤くしてた。コエンマも意識共有で何回かか見てたぞ、あっちは自分からな」
蔵馬「協力してくれた彼に何をさせてるんですか・・・・」
なのは「や、やっぱり覗いてたんだ・・・これは、お話が必要かな・・・!!」
シグナム「お、落ち着くんだ高町。ここは隊舎だぞ、あまり物騒なことは「おー、お前はあんときのおっぱい魔人じゃねぇか」そこになおれ魔王、今すぐレヴァンティンの錆にしてくれる・・・!」
幽助「殴れるものなら殴ってみなさいー。俺はぜーんぜん痛くないもんねー」
ティアナ「私の体で好き勝手言わないで下さい!」
シャマル「みんな、怒りを治めて!この体はティアナちゃんのでもあるのよ!?」
フェイト「そ、そういえばそうだった・・・!」
はやて「なら私らは見られ損かいな!」
ヴィータ「むううううっ・・・けど、これじゃ腹の虫がおさまんねー!!」
蔵馬「仕方がありませんね・・・桑原くん」
桑原「おう!浦飯ィ、んなことしてていいのかァ?・・・螢子ちゃんに言いつっけるぞー?」
幽助「っぐ!?んだよ、テメー関係ねーだろ!?」
桑原「どうなんのかなー。そういや最近見てねぇもんな爆裂ビンタ、いやいや、いい見ものになるぜー」
幽助「アホォ!!オレを殺す気か!アイツは手加減知らねぇんだぞ!」
エリオ「あ、あの・・?」
キャロ「螢子さんって・・・?」
蔵馬「幽助の奥さんです。普通の人間ですけど、幽助の暴走を唯一止めれる女性ですよ。魔界最強の名をほしいままにする彼も、彼女にはまったく歯が立ちません」
スバル「ま、魔王様が敵わない・・・」
リィン「普通の女の人・・・」
全員「・・・・・(じ~っ)」
なのは「な、何で私を見てるのかな・・・!」
全員「・・!!・・・(ブンブンブンブン)」
幽助「そりゃ魔王だからだろ」
なのは「・・ひぐっ・・・気にしてるのにぃっ!!ディバイン・・・!!」
フェイト「や、やめてなのは!わたし達を巻き込・・・」
なのは「バスタァアアアアアア!!!」
全員「うわあああああああ!!」
シャーリー「あ、あの・・・私の出番は・・・?」
ちゃんちゃん!
さて、怒涛の展開となった二十一話でした。
今回は飛影が出なかったので、少しバランスをとらせるのに苦労しました。なんだかかなり駆け足な上、グダグダになってしまった気もしますが、上手にまとめ切れませんでした・・・小説構成の勉強もしたいんですが、なかなか手に取る機会が在りません。
上のルート1とルート2は書いたものの没になったネタです。少しは面白みがあるといいのですが。
と、この辺りで今回初登場のオリジナルアイテムを紹介します。
―波璃虚玉―
霊界にあるエンマ帳を書き出す元、人の過去や未来を全て見通すことも可能な最上の宝具、『浄波璃鏡』の簡易携帯版。ラベルで抽出した人物の記憶を映像化し、空間に投影することができる。投影される場面は使用者が強く念じた記憶の一部であることが多いが、強いトラウマなどが抽出されたりすることもある。死人の場合は死後三日以内であれば可能だが、その場合も死者が最も強く抱いていた記憶が取り出される。名称は不完全なもの、見てくれだけの意の『張子』ともかけてある。
―念出ラベル―
『波璃虚玉』とセットとなっている付箋型ラベル。これをおでこにあて、映像化させたい場面を強く思い描くと、その場面を第三者にもわかるものとして取り出せる。
霊界探偵七ツ道具と言いつつも、あと一つが空いていたので、最後の枠をこのアイテムにして登場させました。次回もこれに沿って話が進んでいきます。
さて、ここで前回発表した9月11日のことについて改めて述べておきます。
この小説を手がける片手間としてもう一つのなのはクロスを執筆することに決め、この『にじファン』にて発表致しました。
題名は『魔法少女リリカルなのはACE』です。
気づいていたよ?という方も多く、サプライズになってないだろ、とお思いになるかとは思いますが、詳しく知りたい方は、作者の活動報告の方をご覧下さい。
ただ、発表しておいていきなりなんですが、しばらくはこちらの『炎殺の邪眼師』の方をメインとしていきたいと思っております。なので、更新は不定期です。
この作品が節目を迎えるまでは、あくまでもオマケ程度だと考えて下さい。愛着はあるのですが、まずはこちらの方をしっかり済ませませんと。
それでは、長々と失礼致しました。こんな身勝手で駄文ばかりの作者ですが、これからも気にかけていただけると幸いであります。
次回タイトル、『喪失の重み・渇望の果て ~ 戦士達の過去』をよろしくお願い致します。
それではまたお会いできることを願って。
再見!
魔法少女リリカルなのはACE
コエンマの執筆する小説へのリンクです。よかったらこちらもどうぞ
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