中国ジャスミン革命は軍事政権化の導火線?

秒殺される民主化の声、氾濫する逆情報、増長する軍部~宮崎正弘氏

2011.03.11(Fri)  JBpress

ずばり勝負

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 中国国内でジャスミン革命中国版をやろうとネットで呼びかけても、10秒程度で消されます。先日、京都大学の入試でカンニングした人が捕まりましたが、中国では15秒で誰が発信したか特定されます。中国はそうやって水も漏らさぬ体制をつくり上げているんです。

 ただ、それでもそのわずかな時間に情報を転載する人がいるから200~300人は集まります。しかし、その10倍くらいの警察官が待っていて、片っ端から捕まえる。中国ではジャスミン革命などしばらくは無理でしょう。

中国で民主化は起きないが、軍事クーデターの可能性はあり

「マット安川のずばり勝負」マット安川、宮崎正弘/前田せいめい撮影

 中国で民主化は起き得ないが、あるとすれば軍事クーデターです。そんなバカなと思う人がいるかもしれないけれど、1911年の辛亥革命は孫文が三民主義を唱えてやったことになっていますが、その半年後に軍部の袁世凱に国を取られてしまっています。

 毛沢東もソ連の支援を得て国民党を追い出した。同じように中国で民主化の動きが本格的になったら、軍の一部がこれを利用しますよ。

 白蓮教徒の反乱のように、あちこちで社会騒乱になったら軍が出ていってクーデターを起こしてお終いにしてしまう。皮肉なことを言えば、民主化で社会騒乱にならない限り、いまの体制が続くということです。

 中国軍については、いま問題なのは軍事戦略と政治局常務委員たちの間に整合性がないことです。軍を誰が統率しているのか分からなくなっている。

 軍のトップは形式上は胡錦濤(国家主席)ですが、軍の動きがトップに報告されていません。今年1月にJ20(殲20)というステルス戦闘機が試験飛行をしましたが、それを胡錦濤は知らなかった。おそらく昨年9月の尖閣諸島中国漁船衝突事件も政治局は知らなかったと思います。

 つまり軍が暴走しているんです。中国のいまの指導部は完全に軍に頭が上がらない体制になっている。

 2年後には習近平(国家副主席)が国家主席に就きますが、ますます揉み手して軍に近寄らざるを得ないでしょう。習近平は軍の要求を通すような政治をやらざるを得ないと思います。

「マット安川のずばり勝負」マット安川/前田せいめい撮影

マット安川(本名:安川昌之)
(株)オフィスヤスカワ代表取締役。1973年1月10日生、神奈川県出身。O型。大学在学中から30種以上の仕事に携わり、のちに渡米。語学を学び、インターンシップ、のち現地法律事務所へ勤務、3年間マネジメントを担当する。帰国後、各界著名人のトレーナー兼マネジメントなどを手がけ、企業コンサルティング、事業マッチングのほか、TV・ラジオの番組DJ・企画制作など多方面に活躍中。

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