記事入力 : 2011/03/27 09:04:34
【コラム】東北高校野球部(下)
1994年、刑務所に27年6カ月にわたり収容されていたネルソン・マンデラ氏が南アフリカ共和国の大統領に当選した。誰もが、白人優越主義のシンボルだったラグビーの同国代表チーム「スプリングボクス」(レイヨウという動物を意味する)は解散させられると予想した。ところが、マンデラ氏はスプリングボクスの選手たちを抱きしめた。励まされた選手たちは翌年6月、同国のエリスパークで行われたラグビーW杯決勝でニュージーランドを破り優勝した。観客6万2000人は互いに肩を抱き合い、涙を流した。スポーツを通じ黒人と白人の融合を夢見たマンデラ氏の「魔法」だった。
11日に発生した大震災と津波の被害で、日本は大きな悲しみに暮れている。プロ野球やプロサッカーの試合が延期され、世界フィギュア選手権の東京開催も中止となった。そうした中、「春の甲子園」として親しまれている第83回選抜高校野球大会が23日に開幕した。全国4200校の中から都道府県を代表する32チームが出場する大会だ。地震で大きな被害を受けた仙台市にある東北高校も3年ぶりに同大会への出場を果たし、28日に1回戦に臨む。当初は出場をあきらめ、避難所でボランティア活動をしていた選手たちだが、地元の人々の要望により一足遅れて甲子園球場へと向かった。
「まだ年端のいかない高校生たちには負担が大きいのでは」と批判する声もある。しかし、生き地獄のような悪夢に苦しむ仙台の人々にとって、出場は切実な願いだ。地元の人々は「スポーツには世界を変える力がある」というマンデラ氏の言葉のように、東北高校野球の選手たちが廃虚と化した仙台を復興させる新たな力になって欲しいと切に望んでいるのだ。
趙正薫(チョ・ジョンフン)スポーツ部長
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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