【萬物相】朴正熙の銅像

 1970年にこの世を去ったド・ゴール(フランス元大統領)は、遺言書に自分の銅像を建てないようにと明記した。だが、98年にフランス政府がパリにチャーチル(イギリス元首相)の銅像を建てると、それに刺激を受けたド・ゴールのかつての側近たちがド・ゴールの銅像建立を推進し、遺族の同意を得た。ド・ゴールの30回忌を迎えた2000年、地下鉄シャンゼリゼ駅前の広場で銅像の除幕式が行われた。高さ3.7メートルの銅像が立つ3.8メートルの台座には、44年8月26日、パリが解放された日にド・ゴールが演説したときの言葉が刻まれている。「パリは凌辱され、破壊され、迫害された。しかしパリは解放された」

 2001年、米国ワシントンのフランクリン・ルーズベルト記念館に、車いすに乗ったルーズベルトの銅像が建てられた。記念館にはすでに、高さ3メートルの銅像があったが、その銅像は、ルーズベルトが生前、車いすに乗った姿を人に見られるのを拒み、コートで車いすを隠したものだった。ルーズベルトが車いすに座った新しい銅像は、障害者団体が6年間にわたり遺族を説得した末に誕生した。障害者たちは「リンカーンの銅像よりも小さいが、困難を克服した人間を引き立てた」と話した。

 09年、米国議会の中央ホールでロナルド・レーガン大統領の銅像の除幕式が行われた。ナンシー夫人と議会の指導者らが参加する中、姿を現した銅像の高さは、実際の身長よりもやや大きい2メートルだった。銅像には、共産主義の没落を早めたレーガンの功績を称え、ベルリンの壁の残骸の一部が入れられた。

 今やレーニンの銅像はモスクワにしか残っておらず、東ヨーロッパでは次々に撤去され、溶鉱炉で処分された。スターリンの銅像も昨年、故郷のグルジアで真夜中に撤去された。3メートルの台座の上に立つ高さ20メートルの金日成(キム・イルソン)の銅像だけが、今も平壌の万寿台に残っている。北朝鮮全域には金日成の銅像が60体、石膏の胸像3万個以上が偶像として崇拝されている。今年10月、朴正熙(パク・チョンヒ)元大統領の銅像が、慶尚北道亀尾市上毛洞の生家に建てられる。台座2.7メートル、高さ8メートルの全身像で、コートをはおり手を高く挙げた姿が、金日成の銅像のように権威的だ。

 歴代の大統領では、高さ7.3メートルの金大中(キム・デジュン)元大統領の銅像が、昨年の1周忌の際に、全羅南道道庁前の公園に建てられたが、建国大統領の李承晩(イ・スンマン)元大統領の銅像は、四月革命(4・19革命)の際に撤去されたまま、いまだ復活していない。このことについて批判が出ると、朴正熙銅像建立推進委員会は、6億ウォン(約4390万円)の募金を集め、より素朴で温和な雰囲気の銅像を建立すると表明した。パリの開放を記念するド・ゴールの銅像も、高さ3.7メートルだ。ルーズベルトやレーガンの銅像はそれよりもっと小さい。広場ではなく生家に建てられる朴正熙の銅像は、小さい方がより共感を得られるだろう。

朴海鉉(パク・ヘヒョン)論説委員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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