きょうのコラム「時鐘」 2011年3月28日

 島国日本は、至る所で海の幸自慢に出合う。が、暖流と寒流がぶつかる掛け値なしの好漁場は多くはない。わが北陸沖はその一つ

太平洋では、三陸沖。杯を傾け、店の主人から仕入れた受け売りである。地物に交じって手ごろな値段の三陸沖の恵みが、当地の店にも並ぶ。ことしもタラの入荷が終わり、そこで震災と大津波が来た

再び三陸から豊かな恵みが届くのは、いつになるのだろう。「カツオは間に合うかな」と、店の主人が言う。被災地がまだ大変な時のごちそうの話にマユをひそめる向きもあるだろうが、私たちまで沈み込んでしまっては仕方がない

義援金を先頭に、いろんな手だてでお金をつぎ込まなければならない。救援物資が行き渡って落ち着きを取り戻したなら、今度は不要不急であっても買い物や出費を心掛け、列島に活気をよみがえらせたい

江戸っ子が珍重する初ガツオは、大方の北陸人になじみは薄い。北上して三陸沖に達したころに、美味を増すという。秋の戻りガツオは有名である。カツオよ来い。カキもホタテも早く来い。被災地支援の「プチぜいたく」の時を待ち望む。