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長梅雨の中、<バカボンド>も、北極海に去り、いよいよヨットエイドの季節到来。6月はじめ、ヨットエイドジャパン本部の大塚代表から、「今年の「ひと・人・ヒトヨットレース
in 蒲郡」の前週にソナー級2艇を蒲郡に陸送し、バンコックでのワールド派遣の選考会「2003アテネパラリンピックチャレンジヨットレース蒲郡」(名前は長いが、国内に2艇しか無いソナー級を蒲郡に運び込み、東京、横浜、中部、大阪、さらに大分から選手を集めての障害者のみでのレース)を行い、そのまま、2艇を蒲郡バリアフリー桟橋『マンボウ』に係留、翌週の「ひと・人・ヒト」にも参加させるから、受入宜しく。」と電話がある。ただでさえ「ひと・人・ヒト」で忙しく、予算の裏付けも無いYAJ東海は、この一言でパニック状態になる。YAJ東海の金子代表とともに、桟橋『マンボウ』の管理者である、蒲郡市企画調整課を訪ね使用許可を願う、すぐ隣の秘書課に毎回「ひと・人・ヒト」にご参加いただいている、金原蒲郡市長がいて、快諾を得る。
ソナー級2艇と選手の受入は、当日で何とかなるため、YAJ東海は、ビックイベント「ひと・人・ヒト」の準備で走り回る。まず先立つものは予算、第1回〜3回までは、SSF(笹川スポーツ財団)のご支援を得て何とかなり、4回〜6回は、蒲郡市からの支援と手持ち資金で何とかやりくりするが、100万以上費用のかかるこのイベント、手持ち資金は底をついている。
さらに、ボランティア参加学校も増え、会計担当は音を上げる。そんな中、愛知県の青少年健全育成事業の補助金の情報を得て、申請期日ぎりぎりに書類提出、審査のプレゼンが有るとの事、仕事の合間にパワーポイントで企画書を作り、審査員を前に大いにPR、15分の短い持ち時間の中、何とか予算獲得、開催のめどが立つ。今年の「ひと・人・ヒト」は、三連休の真ん中、7月20日開催、今回から愛知県立三谷水産学校も加わり、愛知新城大谷福祉短期大学、蒲郡市立ソフィア看護専門学校、田原福祉専門学校さらに豊橋市立桜ヶ丘高校ボランティア部と多彩な陣容となる、実施に先立ち、このイベント参加が課外単位となる愛知新城大谷福祉短期大学をはじめ、各校に事前にYAJ東海のメンバーが伺い、ヨットの基礎的な事から介護・サポートまでを講義する。
イベントの意図を充分に伝えるには、事前準備が欠かせない。

「2003アテネパラリンピックチャレンジヨットレース蒲郡」
7月12日(土)朝、深夜、ソナー級を積み東京から走ってきたトラック2台が、既に蒲郡港竹島埠頭で、下架作業を待っている。大塚代表、メンテナンスの村山氏も前日から蒲郡に入っている。1ton以下であるのソナー級<ばら><はやて>をトラックに装備されているユニッククレーンで、海面に降ろす。降ろした後、すぐにマスト立て。今年から参加の三谷水産学校の生徒達がこの日から来てくれて、マストの組み立てを手伝う。初めての経験だが、海系の生徒でもあり、手際よく指示をこなす。その作業中のニコニコ顔が、心地よい。同時に東海のメンバーに対して、お願いしてあった(財)日本海洋レジャー安全・振興協会による小型船舶免許の身体機能検査を『マンボウ』にて実施。これは、我々YAJの国への働きかけにより今年から小型船舶免許に関しての身体条項の緩和がかない、事前検査で合格できれば、乗船艇の装備等の条件付きで、免許試験を受けられるようになる。東海の障害を持つ6人が受け、皆合格した。既に、YAJの強化選手数人は、船舶免許を取得済み。よって障害者のみの乗員で、晴れてレースができる!!昼には、2艇の組み上げも終わり、各地の選手が到着する。車椅子の須藤選手と全盲の麻生さんは二人で大分から、片足の笹原君は単独、横浜からの到着。ともに新幹線、JRを乗り継いで来ている。次々に各地から見慣れた顔が集まってくる。蒲郡で、一泊2日、しかも各日半日のレースを戦うためにだ。五体満足の私でも、わざわざ来るのをためらうかもしれないのに・・・。「なぜ
?」って聞けば、「レースが有るから」としか返って来ないだろうが。
選手を3チームに分け、内2チームが2艇のソナーに分乗し、レースに参加。各自、自分の障害に合った装備を手際よく艇に取り付ける。既に海外レースを何本も体験してきた彼等は、海外の選手達の歴史とアイディアにより開発された装備をデジカメで撮って来ていて、国内で開発、 自分のものにしている。艇のセッティングは、見慣れた光景だが、見るたびに「凄い」とカウンターをもらう。ソナー2艇が、『マンボウ』を離れると、チャーターした80人乗りの観覧船が、『マンボウ』に接岸。船が大きいだけに、簡単に車椅子を乗せ上げることができる。レース待ちの1チーム及び集まった取材記者、蒲郡市の関係者、ボランティア、そして三谷水産学校の生徒達を乗せて出港。三河湾大島と竹島の間の海面では、本部船によりマークブイが打たれており、ソナー艇2艇はサークリング(*1)を始めている。
*1)サークリング:1対1のマッチレースでは、スタートが最も重要。艇を回しながら、優位な位置を確保する。あのアメリカスカップでも、このスタート前のサークリングが、最も見所。
本部艇のスタート合図とほぼ同時に2艇が飛び出す。美しい光景で、日頃、観覧船など乗ったことのない待ちチームの選手が声を上げる。
取材でカメラを向けていた記者が、一言、「綺麗なスタートだけど、どう写真とっても、障害者のレースとは判らないや」と・・・。艇に乗ってしまえば何の区別もつかない。「彼等は、何故、ヨットを、どうしてレースしているのですか?」と記者の一人から聞かれるが、答えようがない。「私も何の障害も持っていませんが、ヨットやレースを楽しんでいます。それと同じですよ。今日は、たまたまパラリンピックの選考会から、障害者のみのレースです。私もこんないい風だから乗りたいけど、彼等の方が最近熱心だし、速いかも・・・。記者さん、ヨット乗れますか? 彼等、乗せてくれますよ。」・・・この後、記者からは何も質問されなかった。
初日夜、蒲郡の海産を肴に、馴染みの店で、大いに盛り上がった。既に店の女将も、宿泊するホテルの支配人も来るま椅子を気にしない。ひとこと「元気だった?」と遠来の選手達を迎えてくれる。翌日は風が落ち、レースにならなかったが、私はレースの無かった麻生さんに『マンボウ』に張ったタプーの下で、生まれて初めての鍼を打ってもらっていた。
さあ、翌週は「ひと・人・ヒトヨットレース
in 蒲郡」。尚、今年の「ひと・人・ヒトヨットレース in 蒲郡」の様子は、8月31日(日)朝7:00〜7:300 TBS系「笑顔がいちばん!」で紹介されます。
http://www.tbs.co.jp/smile/
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