深刻な事態が続いている福島第一原子力発電所では、27日も2号機の水たまりで通常の原子炉の水のおよそ1000万倍という極めて高い濃度の放射性物質が検出されたほか、海水からも国の基準の1850倍の放射性のヨウ素が検出されました。いずれも核燃料が壊れて放射性物質が原子炉を冷やす水の中に流れて外部に漏れ出たものとみられ、相次ぐ放射性物質の漏えいによって事態の収拾のかぎをにぎる冷却機能の回復に向けた作業の遅れが懸念されています。
福島第一原発2号機では、1号機と3号機の水たまりから高い濃度の放射性物質が検出されたことを受けて、東京電力が同じような水たまりの調査を行いました。その結果、1cc当たり29億ベクレルと、1号機と3号機のおよそ1000倍、運転中の原子炉の水のおよそ1000万倍という極めて高濃度の放射性物質が検出されました。この中には、いずれも放射性の▽ヨウ素134や▽ヨウ素131、▽セシウム134など、原発の運転中に核分裂に伴ってできる放射性物質が含まれていました。一方、福島第一原発の放水口の南330メートルの地点で、26日、採取された海水からも国の基準の1850.5倍の放射性のヨウ素131が検出され、同じ地点で2日続けて国の基準の1000倍を超えました。施設内と海水のいずれからも見つかっている放射性のヨウ素は、放射性物質の量が半分になる期間=半減期が短いため、運転が止まると急激に量が減ります。このため東京電力や経済産業省の原子力安全・保安院は、これらの放射性物質は、運転を停止してから長い期間が経っている使用済み核燃料よりも原子炉の中の核燃料が壊れて放射性物質が原子炉を冷やす水の中に流れ、外部に漏れ出た可能性が高いとみています。特に、2号機については、▽1号機と3号機よりも高い濃度のヨウ素131とヨウ素134が検出され、▽水の表面の放射線量も1時間当たり1000ミリシーベルト以上と、1号機と3号機に比べて高い値を示しています。これについて東京大学大学院の関村直人教授は「放射性物質が外に漏れるのを防ぐためにある『格納容器』から大量の放射性物質が漏れてしまったことを示していて、重大な問題だと受け止めている」と話しています。2号機については、15日に格納容器につながる圧力抑制室=サプレッションプールが爆発で破損し、放射性物質を漏らさないための閉じ込め機能の一部が損なわれているとみられています。東京電力は「圧力抑制室の破損との関連の可能性は否定できないが、原因は分からない。現在の原子炉のデータからは、炉内の放射性物質が大量に出てくることはない」と話しています。福島第一原発では、相次ぐ放射性物質の漏えいによって、高い放射線を出している水たまりの水を取り除く作業を続けていて、事態の収拾のかぎをにぎる冷却機能の回復に向けた作業の遅れが懸念されています。