河北春秋
ニュージーランド地震で被害や救援の状況を発表する当局者の横には、いつも手話通訳者がいる。ニュース映像で見るたび、それが当たり前のバリアフリー環境なのだと思い知らされた▼ニュージーランドでは手話は公用語の一つだ。5年前に法律で定められた。同様に公式に言語と認め、公的サービスを受ける際の選択肢として保障している国はほかにも少なくない
▼日本ではどうだろう。折しもおととい、三陸沖を震源とする地震があった。東北各地が強い揺れに見舞われ、津波も起きた。だがテレビの緊急放送を見る限り、リアルタイムの状況を伝える音声に字幕や手話通訳はなかった▼災害時だけではない。公共施設や駅、病院、学校、職場。「社会のあらゆる場面で、聴覚障害者がほかの人と同じだけの情報を得、コミュニケーションが取れる環境が必要です」。宮城県ろうあ協会会長の小泉正寿さんは訴える
▼そのための法整備を求める署名活動が今、全国で展開されている。手話を言語として認めてほしい、障害者の人権を尊重する「情報・コミュニケーション法」が欲しいと▼「何せ政治の情報が私たちには遠い」。小泉さんは言う。国政も地方行政も、もっとたくさんの情報に手話通訳が付いたなら。世の中の意識を変える波及効果は大きいはずだ。
2011年03月11日金曜日
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