東日本大震災で、さいたまスーパーアリーナに避難している福島県の子どもたちが、4月からの入学や新学期に備え勉強に励んでいる。通っているのはアリーナ内に開設された「みんなの学校」。避難生活を送る子どもたちの居場所を確保するためボランティアが始めた。子どもたちは不安を抱えながらも、4月から始まる学校生活に新たな一歩を踏み出そうとしている。【田口雅士】
東京電力福島第1原発の事故で、集団避難している福島県双葉町の子どもたちも勉強している。町民は4月から加須市の旧県立騎西高校へ移転し、子どもたちは市内の学校に転入するとみられる。町立双葉北小6年の万崎龍汰君(12)は「こっち(埼玉)の学校に入るかもしれないという不安はある。でも友達はできると思う。勉強は数学が面白そう」と話す。
また、町立双葉南小3年の木村弘太君(9)は同小学校の教室にいた時に地震に遭ったといい、両親と兄の和虎君(13)の一家4人で避難してきた。弘太君は「また友達と学校に行って遊びたい」。和虎君は「普段の生活に戻りたい」と訴える。
「みんなの学校」は、支援に当たっていたボランティアが発案し、21日に開設、22日に初日を迎えた。現役の家庭教師や講師が連日、英語や国語、算数(数学)を教えている。主催者によると、25日は小、中学生120人以上が来た。土、日曜日も授業を実施するという。子どもたちからは「授業が分かりやすい」「友達がいてホッとした」などの声が聞かれた。
立ち上げ人の山田幸枝さん(さいたま市北区)は「最初はどれだけ子どもが集まるかなと思っていたが、あれよあれよという間に本当の学校みたいになってしまった。子どもの表情が初日よりも柔らかくなっている気がする」という。
県によると、さいたまスーパーアリーナに滞在できるのは31日まで。みんなの学校では29日にお別れ会を予定している。
毎日新聞 2011年3月26日 地方版