任期満了に伴う広島市長選(4月10日投開票)は27日、告示される。これまでに新人7人が立候補を表明。3期務めた秋葉忠利市長(68)の「たすき」を受け継ぎ、新しいヒロシマの顔になるのは誰か。財政再建や都市活性化、人口減少時代を見据えた対応などの課題を抱え、有権者の1票が持つ意味は重い。【矢追健介、寺岡俊】
立候補を予定しているのは、元市議、大原邦夫氏(61)▽市議、桑田恭子氏(49)▽建築コンサルタント、田中正之氏(51)▽前厚生労働省中央労働委員会事務局長、松井一実氏(58)▽前副市長、豊田麻子氏(45)▽建設コンサルタント会社員、前島修氏(37)▽共産党県常任委員、大西理氏(45)。
前回市長選で次点だった大原氏は地域政党を設立し、時流に乗りたい構え。市長報酬や市職員の給与見直し、議員報酬と定数削減で人件費を減らし、乳幼児保育料月額を上限1万円にするなどの公約で若い世代に訴える。
市議2期目の桑田氏は、市長退職金の廃止と報酬削減を掲げる。議員定数の2割減と市職員の人件費削減を財政再建の要とする。市民税と法人税の10%減など恒久的な減税策も掲げ、無党派層への浸透を図っている。
田中氏は、市役所組織のスリム化を図るプロジェクトの創設、医療やIT産業の育成などを訴える。
松井氏は中央官僚として約35年間の経験から、市政課題の調整に自信をみせる。市民の議論を尊重し、経済雇用活性化などによる財源確保を掲げる。出馬を要請した自民党が推薦を決め、保守票の取りまとめを急ぐ。
豊田氏は秋葉市長の支援者や女性団体が出馬を要請した。民主、社民両党、連合広島も支援する。旧郵政省時代から携わる情報技術分野を活用し、世界に通じる人材の育成、雇用創出の促進、行政業務の効率化を掲げる。
前島氏は、生活保護急増を未曽有の経済危機ととらえ、五輪を戦略的に用いて経済発展させると訴える。
大西氏は、子どもの医療費無料化や保育園増園など「福祉と暮らしの最優先」を掲げる。中小企業振興条例の制定や住宅リフォーム助成、校舎耐震化などで地域内経済の活性化を訴え、共産支持層以外への浸透を図る。<写真は立候補表明順>
毎日新聞 2011年3月26日 地方版