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電波時計、東日本で時刻合わず 原発の避難地域に送信所

2011年3月26日7時31分

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写真:標準電波の送信を停止している「おおたかどや山標準電波送信所」=福島県田村市、情報通信研究機構提供拡大標準電波の送信を停止している「おおたかどや山標準電波送信所」=福島県田村市、情報通信研究機構提供

図:国内の標準電波送信所と電波が届く目安とされる1000キロ圏拡大国内の標準電波送信所と電波が届く目安とされる1000キロ圏

 東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響で、東日本を中心に、電波時計が正確な時刻を自動補正できない状態が続いている。時刻合わせに使われる「標準電波」の送信所の一つが、避難指示の出た地域にあるためだ。送信所の再開の見通しはたっていない。

 標準電波送信所は国内に2カ所あり、その一つが福島第一原発から約17キロの地点にある「おおたかどや山標準電波送信所」(福島県田村市)。送信所を運営する情報通信研究機構によると、政府が同原発から半径20キロ圏内に避難指示を出した12日夜、職員を退避させた。ふだんは2〜4人が常駐していた。

 地震による建物や機器への被害はないとみられるが、避難指示が解除されない限り、再開は難しい。もう一つの「はがね山標準電波送信所」は佐賀市にあるが、電波が届く目安は1千キロ前後とされる。関東地方では電波が届いたり、届かなかったりしている状況という。

 このため、カシオ計算機やシチズン時計など大手時計メーカーには13日以降、電波時計に関する問い合わせが1日に十数件あるという。セイコーウオッチは「一時的に時刻合わせの機能が使えない」と販売現場で説明するよう指示した。

 電波時計は時刻合わせの機能が使えなくても大幅に狂うことはなく、多くの製品は最大でも1カ月に10秒の誤差が出る程度という。ただ、時計は卒業や入学の記念に贈られることが多く、業界は春商戦のまっただ中にある。停波が長引けば、人気が高い電波時計の国内販売計画に影響しかねない。大手メーカーの推計では、電波時計の機能がついた腕時計は、2009年度に世界で630万個、国内で230万個販売された。

 標準電波は個人用の時計のほか、山間地の地震計など、計測機器の時刻合わせにも利用されている。気象庁は停波後、地震計を有線での時刻補正に切り替えている。(野村周)

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