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福島第1原発:電源復旧、頼みの綱 原子炉制御目指す

 深刻な事態に陥っている東京電力福島第1原発2号機の電源が復旧すれば、多くの設備が動くことが期待される。東電は今後、原子炉と使用済み核燃料プールを冷却し、海水ポンプを復旧させて原子炉の制御を目指す。【酒造唯、日野行介】

 このうち原子炉の冷却では、最も強力な設備が「炉心スプレー系」だ。緊急炉心冷却装置(ECCS)の一種で、圧力抑制プールにたまった数千トンの水を、炉心の真上から一気に注ぎ、原子炉圧力容器全体を数分で満水にすることができる。一方で、大量の電力を必要とするうえ、高温になった原子炉を急激に冷やすため炉を傷める危険性もある。

 これを避けるため、ECCSの別系統である「残留熱除去系」を使う方法もある。格納容器内に上部から水を降り注がせたり、圧力容器に直接水を送り込む。弁を切り替えることで、原子炉と使用済み核燃料プールをどちらも冷やせるのが特徴だ。冷却機能が復旧した5、6号機の使用済み核燃料プールでは、この系統を使った。

 原子炉へ注水する系統としては、ECCS以外にも、原子炉の出力を調整する制御棒を動かす「制御棒駆動系」▽制御棒がうまく入らなかったときに原子炉の出力を抑える「ホウ酸水注入系」▽冷却水のごみを取る「原子炉冷却材浄化系」--などがある。原子炉建屋の外には、一時的に冷却水を1000~2000トン貯蔵している専用のタンクもあり、ポンプが動けば冷却水として使える。

 これと並行して、冷却水を冷やすためのポンプの復旧を目指す。ECCSなどの系統で冷却水を循環させるだけでは原子炉を冷やすことはできず、熱を持った冷却水を海水で冷やす必要があるためだ。ただ、海水ポンプやモーターは津波で浸水しているとみられることから、動かないときのために東電は予備のポンプ36台を準備している。

 ここまで作業が進めば、原子炉と使用済み核燃料プールを冷却できるようになり、制御が可能になる。

 原子力安全・保安院の担当者は「爆発の影響で動かない機器も多いだろうから、うまくつなげて原子炉とプールの熱を安定的に取っていきたい」と話す。

毎日新聞 2011年3月20日 20時10分(最終更新 3月21日 10時47分)

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