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ずさん作業手順 被ばく建屋1万倍放射能

 福島第1原発3号機で高線量の放射線に被ばくした作業員3人のうち2人が、内部被ばくをしていることが分かった。25日夜、3人を検査した放射線医学総合研究所(千葉市)が公表した。初期症状は出ていないが、今後、熱傷の症状が出る恐れがあるという。また東京電力は、被ばく現場のタービン建屋地下にたまった水の放射性物質の濃度が、通常の炉心の水に比べ1万倍程度に達していたと発表。1、2、4号機のタービン建屋でも高い放射線量を示す水たまりが見つかった。

 24日にケーブル敷設作業中に被ばくした3人は、東電の協力会社で電気設備工事大手の関電工の2人と、その下請け会社の1人。この日、高度な被ばく治療ができる千葉市の放射線医学総合研究所に到着し、詳しい検査を受けた。

 同研究所によると、3人のうちベータ線熱傷の疑いが出ていた2人は、足のくるぶしから下の皮膚に2~6シーベルトの被ばく。「内部被ばくが認められるが、治療は不要とみられる」とした。初期症状はないが、今後熱傷の症状が出る恐れがあるという。もう1人は皮膚障害の恐れはなく、週明けにも退院する見通し。3人とも自力で歩ける状態で、今後は経過を観察しながら対応する。

 東電は3人が作業をしていた場所の放射線量を、24日の当日は測定しなかったことが被ばくの一因との見方を示した。前日の23日に社員が現場を調べた際は水はほとんどなく、被ばく線量は1時間で0・5ミリシーベルトと低かった。当日は放射線量を測定する担当者は同行しておらず、前日の線量を前提に作業したため、東電は「線量計のアラームが鳴っても故障と思い込み、作業を継続したとみられる」と説明した。

 一方、東電がタービン建屋にたまった水を分析したところ、放射性物質の濃度は1立方センチ当たり約390万ベクレルと、通常の炉心の水の1万倍程度に達していたことも分かった。ヨウ素131やセシウム137など、通常は燃料棒に閉じこめられ、炉内の水にあまり含まれない放射性物質が高濃度で検出された。原子力安全・保安院は「弁から漏れたり蒸気の放出による可能性が高いが、原子炉格納容器が壊れているデータはない」とした。

 また1号機の水たまりからも3号機と同様、1万倍の濃度の放射性物質が確認されたほか、2号機でも高い放射線量を示す水たまりが見つかり、4号機でも建物の中に水たまりがあった。水たまりの深さは最大で1号機40センチ、2号機1メートル、3号機1・5メートル、4号機80センチ。東電はこの日、1、3号機の原子炉を冷やすための海水を真水に切り替えたが、発生から2週間たっても、出口はまだ見えてこない。

 [2011年3月26日8時25分 紙面から]

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福島第1原発

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