白血病発症の 仕組み解明 県内研究班「予防に期待」

成人T細胞原因ウイルスで遺伝子変異

2010年11月4日 09時21分この記事をつぶやくこのエントリーを含むはてなブックマークLivedoorクリップに投稿deliciousに投稿Yahoo!ブックマークに登録

 白血病の一つで、成人T細胞白血病(ATL)の原因ウイルス「HTLV―1」が白血病を発症させる新しいメカニズムについて、おもろまちメディカルセンターの森直樹医師と琉球大学亜熱帯島嶼(しょ)科学超域研究推進機構の石川千恵特命助教の研究グループが解明した。イギリスのがん専門誌カルチノジェネシス電子版に掲載された。(赤嶺由紀子)

 森医師によると、国内のHTLV―1の感染者は九州・沖縄を中心に約100万人。主な感染経路は授乳や性交渉など。県内での感染者は多く、毎年約80人がATLで死亡しているという。発症平均年齢は60歳。

 今回の研究では、HTLV―1感染に伴い、同ウイルスが持つタンパク質「Tax」が、転写因子NF―κBの活性化を介して、遺伝子を改変する酵素(AID)が発現。これが、がんに関係した遺伝子に変異するというメカニズムを明らかにした。

 ATLの治療法としては骨髄移植が主だが、高齢者の患者が多いため「移植できる人がそれほどいない」という。

 森医師は今回の発症メカニズムの解明が「発症予防に期待できる」とした上で、今後は県内の天然物質などを使った予防の研究を進めたいとしている。

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