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発がんの仕組み解明 成人T細胞白血病で県内研究チーム2010年11月5日  このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録

 HTLV−1感染のメカニズム

 おもろまちメディカルセンターの森直樹医師と琉球大学亜熱帯島嶼(とうしょ)科学超域研究推進機構の石川千恵特命助教らの研究チームは3日までに、成人T細胞白血病(ATL)の発がんメカニズムの一つを解明したと発表した。ATL患者に現れる、がんに関連した遺伝子が変異する過程の一端を証明した。研究チームは「今回の成果がATLの治療法開拓にもつながる」と期待を寄せる。論文が英学術誌「Carcinogenesis」電子版に10月に掲載された。
 ATLはT細胞にウイルス「HTLV―1」が感染しがん化した病気。九州・沖縄を中心に国内に約100万人のウイルス保持者がいるとされる。ATL細胞では、さまざまながんに関連した遺伝子に変異が起きることが知られていたが過程は謎だった。今回の研究はウイルスが持つがんタンパク質「Tax」が、感染したT細胞内でタンパク質を作るスピードを調整するタンパク質「NF―κB」を介し酵素「AID」を生み出すことが分かった。AIDが、がん関連遺伝子(がん抑制効果のあるp53遺伝子など)を変化させる可能性があるという。ATL患者は80%以上の高確率でT細胞内にAIDが発生しているほかすべてでNF―κBが現れていたという。NF―κBはT細胞内では通常眠っているがHTLV―1への感染で活性化する。森氏はNF―κBを抑制する技術があることを示した上で「NF―κBを抑制することでATL発症を予防できるかもしれない」と可能性を語った。
 HTLV―1研究会会長で東京大学大学院の渡邉俊樹教授(ウイルス腫(しゅ)瘍(よう)学)は「AIDが、がん化に重要な役割をしている可能性を示した。実際にどこまでがん化にかかわっているかが、今後の課題だ」と語った。


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