金原一郎記念医学医療振興財団
第44回認定証(第23回基礎医学医療研究助成金)贈呈式開催
金原一郎記念医学医療振興財団(理事長=理化研脳科学総合研究センター特別顧問・伊藤正男氏)は,このほど「第23回基礎医学医療研究助成金」の交付対象者として34名(助成総額1475万円)を選出。10月6日に,東京都文京区の医学書院にて第44回認定証贈呈式を開催した(助成対象者および研究内容)。
開会に際して,挨拶に立った金原優同財団常任理事(医学書院代表取締役社長)は,医学書院の創業者・金原一郎の遺志をついで設立された本財団の概要を紹介。「ご協力いただいた方々,ならびに当財団を代表して,皆さまの研究がますます発展されるよう,お祈り申し上げたい」と激励した。
認定証贈呈の後に,同財団理事で選考委員長の野々村禎昭氏(東大名誉教授・(財)微生物化学研究会理事長)が祝辞を述べた。まず,世界的な経済情勢の悪化による医学研究費の削減が懸念されるなかで,本財団の果たすべき役割を紹介。また,今回の助成応募には医学部以外からの医学・医療に対するアプローチが多かったことに対して,「皆さまの研究がさらに発展し,医学が進歩していくことを願っている」と,新しい医学研究の流れに期待を寄せた。
続いて,受賞者を代表して平山順氏(東医歯大・助成対象「概日リズム制御異常による脂質代謝異常の発症の分子機構の解明」)が挨拶に立った。概日リズムは,睡眠と覚醒のように周期的に繰り返される現象を指し,周期性の制御に対する遺伝子の関与が示唆されたのは最近のことだという。氏は「私の研究が助成対象になったのは,貴財団が将来性やテーマ性を含んだ幅広い選考基準に基づく助成選考をしてくださったおかげ」と感謝の言葉を述べた後,「今後も研究を進め,医学研究の進歩と国民の健康に貢献できるように努力していきたい」と抱負を語った。
No. | 氏名 | 所属機関(略称) | 助成対象 |
1 | 熊ノ郷淳 | 阪大微生物研 感染病態 |
破骨細胞分化におけるセマフォリンシグナルの役割の解明 |
2 | 木下専 | 京大 生化学・細胞生物 |
肺線維症と肝線維症に共通する増悪因子と抑制因子の網羅的探索と検証 |
3 | 平山順 | 医歯大難治研 発生再生生物 |
概日リズム制御異常による脂質代謝異常の発症の分子機構の解明 |
4 | 古谷和春 | 阪大 分子・細胞薬理 |
神経細胞における内向き整流性カリウムイオンチャネルの時空間ダイナミクス |
5 | 高柳広 | 医歯大 分子情報伝達 |
骨芽細胞を制御する新規遺伝子の同定と機能解析 |
6 | 竹内純 | 東工大 グローバルエッジ 心循環器 |
エピジェネティックシグナルによる心筋症発症の分子機能 |
7 | 鄒鶤 | 岩手医大 薬 神経科 |
プレセニリンのもつ膜蛋白質輸送機能の分子機構解析 |
8 | 多鹿友喜 | 群大 機能形態 |
高い筋分化能をもつ筋芽細胞を選別する方法の開発 |
9 | 猪原匡史 | 京大病院 神経内 |
Parkinタンパク質の機能欠失によるパーキンソン病発症機序の解明 |
10 | 島田緑 | 名市大 細胞生化学 |
ヒストンの脱リン酸化を介した細胞老化誘導の分子機構 |
11 | 富田真理子 | 琉球大 病原微生物 |
成人T細胞白血病におけるマイクロRNAの役割 |
12 | 渡邉智裕 | 京大 消化器内科 |
クローン病感受性蛋白質NOD2の活性化による腸管免疫制御機構の解析 |
13 | 菊池次郎 | 自治医大 幹細胞制御 |
末梢血リンパ球脱分化による造血幹細胞の誘導 |
14 | 増田茂夫 | 自治医大 再生医学 |
癒合体モデルマウスによる造血幹細胞ニッチ制御機構の解明 |
15 | 椛島健治 | 京大 創薬融合拠点 |
抗体産生細胞の局在制御によるアレルギーや自己免疫疾患克服の試み |
16 | 笹井研 | 北大 分子細胞病理 |
ヒト脳腫瘍のレプリカ作製による前臨床試験モデルの樹立 |
17 | 武田壮一 | 循環器病センター 心臓生理・膜生理 |
新規に同定した細胞外タンパク質結合モジュールの構造・機能相関の研究 |
18 | 森幹士 | 滋賀医大 整形外 |
骨肉腫に発現している破骨細胞分化因子受容体(RANK)を利用した骨肉腫に対する新規治療法開発の試み |
19 | 石川欽也 | 医歯大 神経内 |
全く新しいパターンの遺伝子変異により起こる遺伝性神経変性疾患の病態解明 |
20 | 吉田健一 | 明大 農 分子発生 |
骨分化におけるジンク・フィンガー型転写因子の機能解析 |
21 | 川久保友世 | 九大 プロテアーゼ疾患制御 |
カテプシンEによる乳癌進展抑制機構の解明 |
22 | 豊田博紀 | 阪大 歯 口腔生理 |
味覚受容におけるTRPチャネルの役割 |
23 | 安友康二 | 徳大 生体防御 |
小児膠原病の新規疾患遺伝子の同定 |
24 | 廣田順二 | 東工大 生物実験 |
ヒト水棲型嗅覚受容体の生理機能の解明 |
25 | 鈴木淳史 | 九大 生体防御研 器官発生再生 |
肝がんにおけるがん幹細胞マーカーの同定 |
26 | 池内健 | 新大脳研 分子神経疾患資源解析 |
プレセニリン1変異がアルツハイマー病・病態に及ぼす多様な分子病態についての検討 |
27 | 淵上剛志 | 浜松医大 ゲノムバイオフォトニクス |
統合失調症の機構解明を目的としたグリシントランスポーターを標的とするPET及びSPECTイメージング研究 |
28 | 植村靖史 | 関西医大 修復医療・幹細胞生物 |
ヒトインバリアントNKTサブセットのアジュバント特性を用いたTh17応答制御法の開発 |
29 | 駒田雅之 | 東工大 生命理工 細胞生物 |
ユビキチン修飾系による細胞質分裂の制御機構 |
30 | 山添泰宗 | 産総研 ナノバイオ メディカルテクノロジー |
移植細胞のカプセル化と脳神経疾患治療への適用 |
31 | 秋山好光 | 医歯大 分子腫瘍医 |
発がんにおけるマイクロRNA発現異常 |
32 | 榎戸靖 | 医歯大 難治研 神経病理 |
DNA修復機構の異常によって引き起こされる神経疾患発症機構の解明 |
33 | 小泉修一 | 山梨大 医工 薬理 |
ミクログリアによる脳卒中後の神経機能保護に関する研究 |
34 | 島村達郎 | 京大 分子細胞情報 |
赤血球膜タンパク質バンド3のX線結晶構造解析 |