2011年3月17日
ヘリコプターからの水投下のテレビ映像で、事故後のチェルノブイリ原発に、砂を落とす記録映画を思い出した。
放射線下での作業だけに大きな決断だ。しかし、風で拡散する水を狙い通りに落とすのは簡単ではないようだ。
福島第一原発1〜3号機の炉心冷却に四苦八苦するうちに、3、4号炉の使用済み核燃料貯蔵プールで水が減り、放射能大量放出の危機になったものだ。
水は冷却材であると同時に放射線の遮蔽(しゃへい)物。核燃料が大気にさらされれば接近も難しい強烈な放射線を周囲に出す。とにかく水を追加するしかない。判断は妥当だろう。
しかし、大量の水が要る。投下は効率が低い。他の手段を準備し、行うべきだ。
忘れてならないのは1〜3号機はいまだに炉心が安定していないことだ。水位が下がり、燃料棒が水面から露出していると考えられる。ここに水が入らず、圧力容器、格納容器の大きな破損が起きれば、炉に大量にある放射性物質の大量放出という最悪シナリオになる。こちらも急を要する。空中放水では対処できず、強い電源でポンプを動かす必要がある。
大きな疑問は、事故後1週間がたとうとするのに、「なぜいまだに強い電源がないのか」である。事故直後、東北電力の生きている送電線からの電線の緊急敷設や巨大な発電機の搬入を試みていれば、何とかなっていたのではないか。電源車は役立っているのか。
事故後、危機感をもって「これがだめならこれ」と何重もの手段を準備してきたのだろうか。不十分ではなかったか。自衛隊や消防車の効果を期待するだけでなく、電源復活を最優先に、複数の手段を用意し、実施することだ。(編集委員・竹内敬二)
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