2011年3月17日12時27分
東京電力は17日未明にあった記者会見で、近くの送電網から福島第一原発への送電ラインを復旧させ、発電所敷地内で放射線量が比較的少ない場所を選び、ポンプに外部電源をつなぐための機器を設置する計画を明らかにした。17日午後にも電源が確保できる見通しだ。大型電源が確保できれば、復旧作業が大幅に進み、危機脱出の大きな命綱になる。
必要な資材の一部はすでに福島県内に運ばれており、設置の作業は17日朝から始まっている。
地震によって送電のシステムが壊れ、事故や災害時の原子炉の安全を確保するための緊急炉心冷却システム(ECCS)が作動できずにいた。また、送電システムのバックアップ用の非常用ディーゼル発電機も津波で冷却装置が故障していた。電源を確保するため、第一原発では10台程度の電源車で対応していた。
原子炉などを冷やすためには大量の水を送り込む必要があり、大きな電源が必要。このため、東北電力からの送電ラインを接続することにした。経済産業省原子力安全・保安院によると、17日中に工事して、電源確保ができる見通し。東電も「準備もだいぶ整っており、今回はかなり期待できる」と話す。
外部からの電力が確保できれば、大電力を必要とする大型ポンプを動かすことができる。緊急措置として、燃料が破損して外気に大量に放射性物質が飛散するのを防ぐため、使用済み燃料プールに水を送り込むためのポンプに外部電源をつなげて動かす。
さらに、今回津波が原因で作動しなかった、原子炉を安全に冷やす緊急炉心冷却システムも作動できる。各原子炉は2系統の大型ポンプを持っており、大量の水を原子炉に注入できる。冷却が一挙に進めば、原子炉を安全に冷やし、原子炉を安定した状態で止める「冷温状態」に素早く持っていくことができる。
照明も復活し、夜間の作業などもできるようになる。さらに、現在使えなくなっている水位計や圧力計なども作動し、原子炉の状態を監視できるようになる。