最終更新: 2011/03/26 12:07

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日本での原発事故をきっかけに、福島第1原発の米製原子炉「マーク1」めぐる議論が再燃

日本での原発事故をきっかけに、1979年にスリーマイル島原発事故が起きたアメリカでも、原発への不安が広がっている。また、福島第1原発のアメリカ製原子炉「マーク1」をめぐる議論が再燃している。
アメリカ・ペンシルベニア州スリーマイル島の原子力発電所では、巨大な冷却塔から白い煙が立ちのぼっていた。
1979年3月28日、機器の故障と人的ミスによって起こった世界初の炉心溶融事故「スリーマイル島原発事故」。
州知事が非常事態を宣言し、学校閉鎖や妊婦などへの避難勧告を発令、およそ10万人が避難する事態に至った「レベル5」の事故。
32年前に事故を起こした原子炉2号機は、現在は運転を停止しているが、隣にある原子炉1号機は現在も稼働中で、冷却塔から白い蒸気が上がっていた。
事故から32年。
人々は、今も原発とともに暮らしている。
福島の事故を耳にして、住民たちは「日本人が放射線を恐れるのは理解できるわ」、「原発に慣れてしまっていて、日本の事故が起きるまで、その怖さを考えていなかったわ」などと話した。
周辺の影響調査を行うメアリー・オズボーンさんは、「(今でも、この大きさのタンポポの葉を見ますか?)これほど大きいのはないけれど、時々、普通じゃないのは見つけるわ」と話した。
記者の前に差し出されたのは、オズボーンさんがスリーマイル島周辺で採取したタンポポの葉。
隣に置かれた通常の葉と比べると、その大きさがわかる。
事故後、オズボーンさんは、原発周辺で奇形の植物や動物を見るようになったという。
事故との直接の関係はわからないとしたが、2010年も奇形の植物を見つけたと話した。
メアリー・オズボーンさんは、「ことしはどんな植物が見つかるんでしょうか」と話した。
アメリカでは、福島の事故をきっかけに、原発への不信感も高まっている。
25日夜、外国人記者向けに行われた会見で、東芝の元原子力プラント設計技師に、「福島第1原発が稼動してから変更を行ったか。アメリカでは『マーク1』の変更があったと聞いているが?」との質問がなされた。
この質問に、元東芝元原子力プラント設計技師は、「配置上の問題も含めて大きくしている。安全の問題を理由に変えたというふうにはなっていない」と答えた。
「マーク1」とは、1960年代にアメリカの「GE(ゼネラル・エレクトリック」社が開発した原子炉。
福島第1原発の1号機から5号機で採用されるなど、世界32基の原発で現在も使われている。
福島の事故後、GEの元社員が35年前に、水蒸気爆発を起こした場合、格納容器が損傷しやすいと指摘していたことが明らかになった。
元GE社員のデール・ブライデンボー氏は、「1976年にわたしが指摘していたことと、今回の福島の事故とは直接は関係ないが、『マーク1』は、ほかの原子炉より外的要因に弱い。GEは、当時はまだこの問題点を解明していなかった。それは事実だ」と語った。
国民の動揺を抑えるためか、オバマ大統領は国内の核施設の見直しを指示した。
オバマ大統領は「NRC(アメリカ原子力規制委員会)に対し、アメリカ国内の原発において、日本で起きた災害を踏まえたうえで、包括的な再調査をするように求めた」と述べた。
1号機の稼動からちょうど40年。
皮肉にも、望まない形で注目されることになった「マーク1」。
元東芝元原子力プラント設計技師は、「(『マーク1』の問題点を指摘されていたことへの認識は?)『マーク1』が、ある種の弱点があるというのは、多少は知っていた。では、ほかのがいいかというと、そういう考えではない」と語った。
想定外の地震と、想定外の津波。
福島の事故からの最大の教訓は、住民の安全を守るためには、想定外のことを想定しなければいけないということだった。

(03/26 01:54)


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