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ジャンプ1冊、笑み100人 仙台の書店「読んでいい」

2011年3月26日11時46分

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写真:「週刊少年ジャンプ」最新号を手に笑みを浮かべる長谷川稜くん(左)と店主の塩川祐一さん=仙台市青葉区拡大「週刊少年ジャンプ」最新号を手に笑みを浮かべる長谷川稜くん(左)と店主の塩川祐一さん=仙台市青葉区

 1冊の「週刊少年ジャンプ」が、雑誌の最新号が届かない仙台市にある書店で、100人以上の子どもたちに「立ち読み」されている。客から譲り受けた貴重な1冊。人気マンガの続きを読み、「安心した」と笑みを浮かべる子どもたちがいた。

 震災後、多くの書店が閉店するなか、同市青葉区の地下鉄南北線五橋駅近くにある塩川書店五橋店は14日、在庫だけで営業を再開した。しかし、雑誌の最新号を求める客が来るたび、店主の塩川祐一さん(47)は「ないんです。入荷も未定です」と謝り続けた。小学館の「コロコロコミック」がないと聞き、泣き出す子どももいたという。

 とくに「読みたい」と訪ねてくる人が多いのが、人気マンガ「ワンピース」などが連載されている集英社の少年ジャンプだ。そんなとき、どうしても読みたいと山形県まで買いに出かけた男性客が22日、読み終えた1冊を譲ってくれた。

 「少年ジャンプ3/19発売16号 読めます!! 一冊だけあります」。塩川さんが店頭に張り紙をすると、口コミで情報が広がった。順番待ちになることもあり、10キロも離れた自宅から自転車で読みにやって来た子どももいたという。

 表紙がめくれあがったジャンプを手に、沢田幸輝くん(13)は「色んな書店を回って、どこにもなかったんです」とほっとした様子。友人の長谷川稜くん(13)は「ワンピース」を2度じっくりと読み、「安心した。続きが読めてよかった」と喜んだ。

 塩川さんは「テレビに映し出される悲惨な映像を見せたくない、と児童書や絵本を求める親が増えた。まずは衣食住の確保ですが、子どもたちのため、本が果たす役割は大きいと思います」と話した。(高津祐典)

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