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原発復旧現場、昼夜なし 「自分のプラント守りたい」

2011年3月26日7時11分

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 東日本大震災で被災した東京電力福島第一原子力発電所で続く復旧作業。建屋から煙が出ると東京電力や協力企業の社員らは退避を繰り返す。昼夜問わずで続けられる原発内の復旧の試みを、ある男性作業員(35)が明らかにした。

 この男性は、1、2号機の原子炉の冷却システムを回復させる作業を担当。1〜2時間ずつの交代制で、作業員約20〜30人がチームを組んでいる。放射線濃度が高い原子炉建屋には入れず、隣接するタービン建屋や中央制御室内での作業だ。待機中はさらに別棟に移る。21日に2、3号機から相次いで煙が出ているのが見つかったが、そのたびに退避が指示されるので、作業を中断するという。

 「放射線量が多く、思うように作業ができず、みな苦労している」と話す男性作業員。作業全体ではほぼ24時間態勢で、どの作業員も睡眠不足になっているという。

 この男性は約1週間前から作業に加わり、原発内で寝泊まりしていたが、23日は車で第一原発から約60キロ移動。福島県いわき市の小名浜港に接岸している独立行政法人・航海訓練所の練習船「海王丸」内に設けられた仮宿泊所に入った。放射線量の測定を受けてから船内に入り、一晩休んだら、再び原発に戻る予定だ。

 男性は「家族に会いたいけれど、自分のプラントを守りたい。使命感で現場に入っている。電源が戻れば、光が見えてくると思うので、みんな努力しています」と話した。

 海王丸の外谷進・1等航海士によると、原発の作業員たちは、練習生用の船室に宿泊。海王丸側が、夕食にカレー、朝食に和食などを提供している。「作業員たちはくたくたに疲れていて、風呂に入るとすぐに寝てしまう」という。

 交代で宿泊する作業員たちは毎日午前6時半ごろ、原発に向かう。海王丸の乗組員らは拍手で送り出すようにしているという。(小島寛明、佐々木学)

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